プロフィール

納庄 一樹

納庄 一樹

NOSHO Kazuki

専攻 応用生命工学専攻 Department of Biotechnology
研究室 醗酵学研究室 Laboratory of Fermentation Microbiology
職名 助教 / Assistant Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

生命の真の多様性について、多彩な手法で研究する。

私が研究対象としている微生物、特にバクテリアは、地球上に存在する生命の遺伝的多様性の圧倒的大部分を占め、あらゆる物質を代謝・利用することで、さまざまな環境に適応して生存圏を拡大してきた、いわば地球の大先輩です。バクテリアがもつ遺伝的多様性に裏付けられた多彩な生命現象を理解するためには、生物学に加え物理学や数学など多角的な研究手法が必要です。私はこれまで、各国の物理学者や数学者と連携し、ビッグデータ解析や機械学習などを活用して、バクテリアが集まって形成するバイオフィルムなどのコミュニティが示す特異な性質について研究してきました。ただし、対象としてきたのは大腸菌や枯草菌といったモデル生物と呼ばれる「みんなが研究している生物」で、豊富なデータや遺伝子操作技術を利用できる点で効率的でしたが、生命の真の多様性に迫るには、他の誰も研究していない生物の特性に迫る必要があると感じていました。そこで2024年の東大着任以降は、希少放線菌と呼ばれる珍しい菌を対象に、これまで培った最先端技術を応用し、その特殊な性質を研究しています。非モデル生物を対象に多彩な解析技術・研究手法を活用することで、生命の本質的な多様性に迫る、東大ならではの基礎研究を進めたいと考えています。

教育内容

人生を懸ける価値のある「好きなこと」を見つけるお手伝い

近年、コスパやタイパを重視し、それらを最大化するキャリア選択が推奨されています。就活でも、16Personalitiesなどの診断を用い、自身の特性に応じた業界選択を勧める流れが強まっています。確かに効率や成果の最大化は重要です。しかし、最初から自身の特性に合わせたキャリア選択は、本当にあなたの幸せにつながるのでしょうか?私自身、才能の壁に阻まれ挫折しかけた経験がありますが、「好きなことをあきらめたくない」との想いから、留学し異分野の研究手法を学び、今では胸を張って「好きなことをしている」と言えます。だからこそ、自由に学べる大学では、「自分に向いていること」ではなく「自分が好きなこと」を探し、それを将来の仕事につなげる準備をしてほしいと願っています。研究は一つの技能を競うわけではなく、自分が有するさまざまな能力の活かし方を学ぶ良い機会でもあります。ただし、好きなことを見つけるためには全力で物事に打ち込むことも必要だと感じています。全力を尽くしても失敗した時の絶望感は筆舌に尽くし難いですが、中途半端な努力では得られない景色を見ることができます。成功も挫折も共有しながら、全力で切磋琢磨できる学生と出会えることを楽しみにしています。

共同研究や産学連携への展望

利己的な研究から生まれる応用展開

研究者として私自身が一番優先していることは「研究を楽しむこと」であり、「社会の役に立つこと」は二の次です。これは、寝食を忘れて何かに没頭できたのは、誰かのために働いているとき、すなわち他人をモチベーションに据えた時ではなく、自分自身が心から楽しいと思ったことに利己的に取り組んでいるときだったと気づいた経験に由来します。もちろん、研究活動は国や社会からの資金に支えられており、その成果を社会に還元する責務があります。しかし、社会に変革を起こすようなイノベーションは、必ずしも社会還元を意識した研究から生まれるわけではなく、研究者の純粋な「知りたい」という欲求から生まれた研究成果が、産業界とのつながりを経て大きな応用展望を産んだ例が多数あります。20世紀後半の日本の研究がアカデミアと産業界の好循環によって多くのノーベル賞受賞に結びついたのも、その好例だと思います。だからこそ私は、産業界の皆様と積極的に関わりながら、自身が利己的に進めている研究が持つ応用の可能性について率直なフィードバックをいただきたいと考えています。そのためにも、自身の研究内容を積極的に発信していく努力を続けていきたいと考えております。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  放線菌、バイオフィルム、トランスクリプトーム、RNA-Seq、バクテリア、微生物学
キーワード2  :  抗生物質耐性、有用物質生産