森林資源の過少利用が指摘されるなど、森林(自然)と人の関係の希薄化が進行しているといわれます。これの何が問題なのか、私は大きく二つに分けられると考えています。一つ目は、身近にある資源が活かされず、その代償として地球規模での資源の過剰利用につながっていること。二つ目は、災害リスクをモニタリングし対処する仕組みが働きにくくなることです。
そこで、現代社会において新たな森林と社会の関係を構築することを目指し、①森林への親しみを育む自然アクセス制の研究、②森林と関わる文化の研究、に取り組んでいます。
① 自然アクセス制
持続可能な資源利用や環境保全は、自然に親しむ人々がいて実践・支持されるものでしょう。その基盤となる自然とのふれあいは、誰もが自由にできるとは限りません。自然へのアクセスがどのように規制されるかは、地域によって大きく事情が異なります。その制度内容や経緯について分析し、より多くの人が自然にふれあえる制度設計を研究しています。
② 森林と文化
文化のあり方によって、森林とのつながり方は変わります。伝統的に継承されてきた文化には、森林を持続的に利用し、かつ森林資源の長所をうまく引き出す知恵がみられます。また新たに森林資源に親しむ活動も生まれてきています。森林と関わる文化への理解を深め、森林とつきあう文化を醸成していく途を探っています。