プロフィール

万木 孝雄

万木 孝雄

TAKAO Yurugi

専攻 農業・資源経済学専攻 Department of Agricultural and Resource Economics
研究室 農村開発金融研究室 Laboratory of rural development finance
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

農林水産業と協同組合、農山漁村における個人と組織、家計と組織に対する政策支援のあり方

研究の背景
 

農業や地域社会に関係する組織や制度について、経済学やそれに関連する社会科学の理論を用いて、それらの評価や改善が求められる課題などについて研究を行っています。

研究の内容
 

研究の対象は、総合農協(JA)、農林中央金庫、全農、JA共済連、日本政策金融公庫、農業経営体、および農業・農村に関連する様々な組織や制度などで、おもに金融論や協同組合論などの観点から分析や評価などを行っています。最も紹介をしたい研究の内容は、日本の戦前における農村産業組合(戦後における総合農協の前身)の経験や成果などが、現在の途上国への支援においてどのように活かせるのかについて、分析や考察を行ったことです。

今後の展望
 

農林水産分野における協同組合(農協、森林組合、漁協など)、および様々な組織や制度は、明治以降における第1次産業の振興と地域経済の発展、そして第2次大戦後における都市と地方の経済格差縮小、あるいは高度経済成長における農山漁村地域の支援などに大きく貢献してきました。しかし少子高齢化が進む現在の日本においては、より効率的で都市の住民や納税者などにも広く開かれ、理解の得られる組織や制度に進化していくことが期待されます。経済学という手法の意義や限界なども踏まえた上で、客観的な分析を進めていくことが、今後の日本において(またその成果を世界に発信していくことも)重要であると考えています。

教育内容

農林水産業の振興や支援、個々の多様な価値観やスタイル、個の独自性と共に組織や制度の重要性

教育研究活動
 

講義は、農業・資源経済学専修および農学部の3・4年生を対象としまして、協同組合論とマクロ経済学を担当しています。また同専修の演習では、金融分野などを中心として農業経済に関係する文献を輪読しています。

人材育成の目標
 

チームとして協力し成果を出す方向、個々のオリジナリティを重視して独自の力で進める方向など、学生の皆さんが重視する方向性も多様だと思います。そのため、皆さんの個性に合わせた支援を目標にしたいと考えています。

人材輩出の実績
 

卒業生の進路は、コンサルティングや商社、金融機関、中央省庁などが多いですが、卒業・修了された後の長いキャリアの中では、農林水産業や農山漁村地域の振興に貢献される機会があることを期待します。博士論文の主指導教員として関わった課題としましては、「マイクロクレジットによる貧困削減メカニズムに関する実証研究」というものがあります。その課題で学位を取られた方は、世界銀行に勤められていた社会人で、現在もある途上国で仕事に励んでおられます。

共同研究や産学連携への展望

協同組合における所有と意思決定、経済組織に関する財務や経営の分析、市場経済で期待される協同組合の方向性

取り組んでいる社会問題
 

私が研究対象としています協同組合は、本来であれば組合員が所有と意思決定を行う組織であるのですが、現在ではそれが形骸化されていると私は捉えています。株式会社では株主が当然それらを行っていますし、特に株式市場に上場されています企業の財務や経営などの情報は、広く社会に公開されています(その義務があります)。協同組合も上場企業に負けないように、自身の情報をしっかり社会に発信してもらうと同時に、厳しい市場競争においても消費者や組合員に支持してもらえるような力を付けてもらいたい、というのが私の問題意識です。

現時点での成果物や進捗
 

私の研究成果は、CiNiiなどのサイトで「万木孝雄」と入力をしてもらえれば、同性同名はおられないようですので容易に検索できます。また2019年に出版しました『開発途上期日本の農村金融発展』という単著が、最大の成果です。

今後の進展に適用可能な研究の展望
 

上記で記しましたような研究課題には、これまで幸運にも公的な機関や民間の財団などより、様々な助成をいただくことが出来ました。残念ながら、協同組合分野の方々との共同研究の機会はあまり無かったのですが、もし「市場経済で期待される協同組合の方向性」といった課題に関心を持って下さる方がおられましたら、一緒に知見や分析を深めていきたいと思っています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  農業経済、協同組合、農村金融、市場経済、開発経済学、経済組織、農協、森林組合
キーワード2  :  農村開発、協同組織、経済発展、貧富の格差、家族農業、共同利用、組織のガバナンス、財務分析