プロフィール
専攻 |
附属演習林 フォレストGX/DX協創センター
The University of Tokyo Forests Forest GX/DX Co-Creation Center
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研究室 |
森林圏生態社会学研究室
Laboratory of Forest and Human Society Relationship
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職名 |
特任准教授 / Project Associate Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な方策の提示へ
地球温暖化の原因とも言われている温室効果ガスの排出量は年々増え続けてきました。私たちの生活に伴って排出される温室効果ガスの量を減らしていくためには、省エネルギーに関する取り組みが不可欠です。一方で、産業界などを中心に、どうしても避けられない排出分があり、これをゼロにすることは出来ません。このため、温室効果ガスの排出量を正味ゼロにするためには、温室効果ガスの吸収・固定をするための技術が必要であり、これはネガティブエミッション(負の排出)技術と呼ばれています。このように、温室効果ガスの排出量と吸収(負の排出)量が概ね一致した状態になって初めてカーボンニュートラルが達成出来ることになります。実際には、今後数十年は大規模な省エネルギーへの取り組みとネガティブエミッション技術が必要になる見込みです。ネガティブエミッションには、様々な方法がありますが、CO2を吸収する森林も大きな役割を果たしています。「森林は実際にどれだけの炭素を蓄積しているか」、「炭素固定の取り組みに対する環境価値はいかなるものか」、これらを明らかにすることにより、カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な方策を提示していくことを目指します。
教育内容
学際的な取り組みで、地球規模課題の解決を目指す
気候変動への取り組みのような地球規模課題と言われている問題は、一つの学問領域で解決することが容易ではありません。社会が目まぐるしく変化していく中で、研究者も社会課題に対して柔軟な取り組みができる人材が求められています。複数の学問領域をまたがり、国境を越えた課題解決に向けた研究を進めていくことが重要です。
東大演習林での学問領域をまたぐ研究例は、農学と工学の連携、文系と理系の融合などの取り組みがあります。自然を使ったフィールドで、大規模なネガティブエミッションを実践していくためには、森林や土壌などの計測、解析が必要となります。また、フィールド調査をするためには、地域の方々のご協力も不可欠です。炭素吸収源として期待の高い森林によるGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進するため、様々な角度からのアプローチによる研究開発を行います。また、産業界、官公庁、自治体なども含めた多様なステークホルダーとの連携を進めながら、学際的な研究にチャレンジします。
私たちは、地球規模課題に対して具体的な解決策を提示し、それを実践していくことができる人材を輩出することを目指します。
共同研究や産学連携への展望
カーボンプライシングを見据えた炭素固定に関する環境価値の定量化へ
フォレストGX/DX協創センターでは、東京大学が各地に保有する演習林を活用し、産学連携・社会協創・地域連携による炭素蓄積のためのプラットフォームの構築を進めています。
持続可能な社会を実現するためには、現在の経済社会システムの転換が求められています。このためには、炭素動態に関するデータのプラットフォームの構築、人材育成のための場の形成、地域社会との連携などの取り組みが重要であり、特に、産学連携は大きなミッションの一つです。
カーボンプライシングへの動きが国際的にも進められている中、日本としても自然資本の価値を定めていかなければならないという課題があります。産業界が継続的にネガティブエミッションを進めていくことができるような炭素の価格設計が不可欠です。当センターでは、東大演習林を中心に、森林の自然資本の環境価値を定量化していくことで、森林GX/DXによるグリーン投資を可能にするための東大モデルをつくることを目指します。
地方自治体の脱炭素実現に向けた実施計画策定支援や、企業のCSRへの活動等にも貢献いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : カーボンニュートラル、炭素蓄積、ネガティブエミッション、GX/DX、省エネルギー、建築環境
キーワード2 : 気候変動、産学連携、地方創生、森林再生