プロフィール

都築 洋一

都築 洋一

TSUZUKI Yoichi

専攻 附属生態調和農学機構 Institute for Sustainable Agro-ecosystem Services
研究室 耕地生圏生態学研究室 Laboratory of Agricultural Land Ecology
職名 助教 / Assistant Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

生活史調査を通して生物多様性をめぐる課題に迫る

 生物個体が一生涯の間に行う一連の生命活動を「生活史」といいます。 たとえば植物の生活史は、種子から発芽して幼植物として定着してから、徐々に光合成をして成長し、やがて開花して種子を生産して次世代を残す、という流れで一般的に構成されます。 生活史の進み方は種によって大きく異なっており、一年で一生を全うする一年生植物もいれば、何十年・何百年と長生きする多年生植物もいます。 また、生育環境に応じて、成長が早まったり遅くなったり、途中で死亡しやすくなったり、種子の生産数が減少したりなど、同じ種であっても生活史の流れに変化が生じます。
 人間活動が生態系に与える影響も、生活史を調べることで読み解くことができます。土地開発や環境汚染は、若い生育段階の死亡率を上げたり、種子生産数を減少させたりなど、生活史の様々な過程に影響を及ぼしており、各過程に生じた影響が組み合わさって、個々の種や、生物多様性全体に作用しているからです。私は、農地・森林・草地・公園などの緑地に生育する植物を主に対象に、生活史を調査して基礎的な生態を調べるとともに、その存続を脅かす要因(生態リスク)の解明に取り組んでいます。

教育内容

「野生生物版国勢調査」を通して生態学を学ぶ

 生活史研究の基本は、個体を識別し、生まれてから死ぬまでを追跡することです。これはいわば野生生物版の国勢調査であり、地道なフィールドワークの積み重ねが欠かせません。さらに、得られた膨大なデータをもとに、統計解析や数理モデルといった解析手法も活用して種の存続に影響する要因を予測します。観察と解析の両輪を身に着けることで、生態学の基礎理解と応用的な展開ができるようになることを目指しています。
 講義や実習では、特に「緑地管理」という観点を重視しています。公園や農地、森林などの緑地を舞台に、植生を「ただ見る」のではなく「どうしてそうなっているのか」を、植物の生態をベースに考える練習を重ねていきます。
 野外で植物をじっくり観察してその変化を記録する、ラボでデータを解析して将来を予測する、この繰り返しの中に、面白さとやりがいがあります。最初は地味だと感じるかもしれませんが、個体を見続けることで見えてくる変化があり、解析を通じて自然の背後にある法則に気づく瞬間があります。その発見は、きっとあなたの学びや成長を支える力になりますし、そのサポートをしていきたいと考えています。

共同研究や産学連携への展望

土地開発や化学物質汚染のリスク評価と緑地管理

 植物の生活史調査を通して、生態系の持続可能性や人間活動の影響を解明する研究を進めています。現在、特に注力しているのは、「都市やその近郊における土地利用変化・土地開発」「農薬をはじめとする化学物質汚染」といった人間活動が生物多様性に及ぼす影響の解明です。土地開発と化学物質汚染は、生物多様性の代表的な危機要因であり、緑地の質や生物多様性の維持に直結する重要課題です。生活史研究を基盤に、植物の一生のどの段階で影響が生じやすいのかを把握することで、科学的根拠に基づいた緑地管理や環境配慮型の土地利用へとつなげることを目指しています。連携の可能性としては、都市開発や再開発における環境影響評価や緑地設計の支援、緑地管理における科学的指針の提供、などが挙げられます。地道なフィールド観察と、統計・数理解析による将来予測を両輪に、学術研究を通して、持続可能な人間社会の形成に貢献していきたいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  生活史、植物、生態毒性、生態リスク評価、モデリング
キーワード2  :  土地開発、化学物質汚染、生物多様性保全、緑地管理