プロフィール

山本 光夫

山本 光夫

YAMAMOTO Mitsuo

専攻 農学国際専攻 Department of Global Agricultural Sciences
研究室 国際農業開発学研究室 Laboratory of International Agricultural Development Studies
職名 教授 / Professor

一般の方へ向けた研究紹介

陸域と海域のつながりに着目した環境技術開発と沿岸・海洋生態系保全

 陸域と海域(森・川・海)のつながりに着目した環境技術開発と沿岸・海洋生態系保全に関する学際的な研究に取り組んでいます。主な研究テーマは、①未利用資源を活用した環境技術開発、②沿岸生態系保全に向けた物質動態評価、③農業廃棄物利用に基づく海洋環境保全の3つです。
 ①では、浅海・岩礁域における海藻群落(藻場)が衰退・消失する「磯焼け」の問題に対して、これまで鉄分供給(施肥)による藻場修復・造成技術に関する基礎研究・フィールド試験を実施してきました。近年、藻場の修復・造成は、海洋生態系によって吸収・貯留される炭素(=ブルーカーボン)量増加の観点からも注目されており、地球温暖化問題解決への寄与の観点からの研究も進めています。そのためには沿岸域における鉄や栄養塩(窒素、リン)の動態理解も必要であり、②では沿岸生態系保全に向けた鉄を中心とした河川流域や沿岸域の物質動態に関わる研究を実施しています。③では、特にアフリカを対象として、農業廃棄物を活用したプラスチック代替素材の開発・導入に基づく海洋プラスチックごみ削減と循環型経済の実現に向けた国際共同研究を進めています。

教育内容

国内外の研究者・専門家と協力し、学際的な環境研究を推進

 当研究室では学際的な研究テーマを取り扱っているため、学内外の専門分野の異なる研究者や企業、国際機関との共同研究を広く行っています。研究①では企業や他大学の研究者、研究②では国内の他大学の幅広い専門分野の研究者、研究③では国際機関や海外大学と連携しており、各テーマを選択した大学院生・学部生は、学内外の共同研究者との議論や連携を行いながら研究を進めています。また大学院英語教育プログラムである国際農業開発学コース(IPADS)の学生も所属しており、ゼミは英語で行っています。
 このような研究活動を行う中で、自分の専門性を深めるとともに、異分野の研究者・専門家らと主体的に協力して現実の環境問題の解決に貢献していくことを目指しています。また海洋学際教育プログラムといった大学院横断型教育プログラムなどへの参加も推奨しています。卒業生の進路は、海外大学院への進学、博士課程への進学、公官庁・政府関連機関や企業への就職など多岐にわたっています。

共同研究や産学連携への展望

社会実装に向けた共同研究・産学連携

 これまで沿岸・海洋環境問題や生態系保全に関わる研究を長年にわたり行ってきましたが、現在ではこれらがブルーカーボン(地球温暖化問題)、また海洋プラスチックごみ削減に深く関係する研究テーマへとつながっています。前者では、藻場を修復・造成する技術やその有効活用の手法確立を目指しての研究を産学連携で行っています。後者では、農業廃棄物(農作物残渣)を利用したプラスチック代替素材開発に基づく途上国・新興国における循環型経済実現を最終的に目指した研究活動を行っており、材料開発及びその環境影響・経済性評価に関する基礎研究・学術研究をもとに社会実装へとつなげていくことを目標としています。その実現に向けた学際的な研究や産学連携の取組みをさらに進めていきたいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  環境科学、水圏環境化学、環境化学工学
キーワード2  :  沿岸生態系保全、気候変動、ブルーカーボン、海洋プラスチック、循環型経済