プロフィール
専攻 |
獣医学専攻
Department of Veterinary Medical Sciences
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研究室 |
獣医解剖学研究室
Laboratory of Veterinary Anatomy
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職名 |
助教 / Research Associate |
一般の方へ向けた研究紹介
哺乳類の胚発生を試験管・動物体内で再現し、胎仔発生を解き明かす
たった1つの細胞からなる受精卵からどうやって私たちは誕生するのでしょうか?哺乳類の胚発生は母体内で起こるため、着床や胚発生過程を直接視ることが困難です。そのため、胚発生機構の多くが未だ謎に包まれています。私たちは動物胚を用いた「発生生物学」に、あらゆる細胞へ分化可能な多能性幹細胞を用いた「幹細胞生物学」、発生過程を試験管内で再構築する「合成発生学」を組み合わせて哺乳類の着床、発生過程を試験管内・動物体内で再現することで、哺乳類の発生過程の見える化、理解、治療への応用を目指しています。
教育内容
挑戦・発見・発信できる人に
新しい知識や技術の習得、自分の頭で問題を明確にし、論理的に考え、行動・発信すること、同僚や共同研究者とコミュニケーションをとりながら協力して研究を進めること、そして自分を知ることは研究者のみならず、将来何かを成し遂げるには必要なスキルです。授業や実習、研究活動を通して、これらの能力を習得し未来を切り拓ける面白い人材の育成を目指しています。
共同研究や産学連携への展望
着床・妊娠率の向上を目指した、ヒトを含む霊長類の胚発生機構の解明
不妊治療や畜産分野において、人工授精、顕微受精技術などの開発により受精や着床前発生の障害は改善されつつありますが、着床率はヒトでは10-35%と見積もられ、着床・出産率の向上は未だに解決されていません。これは、体内の微小空間で進行する着床、胚発生における分子機構の解明が大きく遅れているためです。実験に使用可能なヒト胚の入手、胚への遺伝子操作の難しさから、現在は限られた数のヒトを含む霊長類胚の観察、マウスなどの齧歯類を用いた実験の知見しか得られていません。しかし、動物種間で胚発生・分化制御機構に多くの違いがあるため、霊長類の胚発生機構解明には、新たな胚の提供によらず、霊長類の胚発生を経時的に観察・検証可能な「胚発生モデル」が必要です。私たちは幹細胞を用いて、試験管内あるいは、動物体内で霊長類の胚発生を再現し・解明することに取り組んでいます。これらの研究を通して、ヒトを含む霊長類の着床・胚発生機構の理解が進めば、不妊原因の解明、着床促進/避妊薬の開発、究極的には母体を必要としない人工子宮の開発、絶滅危惧種の繁殖に向けた知識基盤の構築に繋がると考えています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 胚発生、幹細胞、獣医解剖
キーワード2 : 動物繁殖、不妊治療、臓器再生