プロフィール

吉田 修一郎

吉田 修一郎

YOSHIDA Shuichiro

専攻 生物・環境工学専攻 Department of Biological and Environmental Engineering
研究室 農地環境工学研究室 Laboratory of Land Environmental Engineering
職名 教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

自然と正面から向き合う農地の科学

 「農地」、つまり水田・畑・果樹園・牧草地は、人類が基本的な食料を得るための最も基幹的な施設です。その生産効率を高めたり、機能を維持したりするために、有史以来、農地には脈々と人の手が加えられてきました。この重要性は、土や太陽光を使わない野菜の生産が可能となった現代においても変わることはありません。農地における作物生産は、立地条件や環境条件による様々な制約を受けています。これは、自然と共生しながら営む産業としての農業の特徴でもあり、この制約を受入れ、折り合いのつく範囲で環境と相談しながら、生産性を高める手段を講じてゆくことが求められます。
 このような考え方のもと、私は農地の土壌環境を水分の面から改善するための土、そして水の制御に関する研究に取り組んでいます。作物の種類により、最適な土壌の水分は違いますが、特に水稲と畑作物では、栽培環境が大きく異なります。農地は限られていますので、需要に応じて農地を必要な作物の栽培に容易に使い分けられることが理想です。ところが、土の水分は、水の動きやすさや水を保持する能力の影響を受けて変化するため、それを迅速に制御するためには、土そのものの性質も変えなければいけません。
 私は、土の物理的・力学的な性質が変化するメカニズムに関する研究や、農地の排水技術に関する研究によりこの課題の解決に貢献しようとしています。

教育内容

農地のことは農地に行って学ばなきゃ!

 進学される学生さんには、土の物理的・力学的性質の実験室での分析方法をいろいろ学んでもらいます。また、フィールドでは、土壌の断面調査やサンプル採取、水分、水圧や流量などのセンサの設置などを経験してもらいます。いずれも、専門性の高い技術です。また、室内・野外を問わず、ホームセンターで売っているような材料を組み合わせた装置の工作なども指導します。農家の方や行政、メーカー等の関係者との打ち合わせなど、現場の生の声を聴く機会を設けます。これらを通じて、農地あるいは農業全般に関する基本的な研究スキルや知識を身につけながら、自身の考えで調査や実験を進められるようなステップアップ(幅の大小は問いません・・・・)を在学中に果たしてもらいます。私が指導した学生さんの多くは、卒業後は、建設・土木業界や農水省などの公務員、農業関係の研究所などで活躍しています。

共同研究や産学連携への展望

農地のことを一緒に考えましょう!

 農業に対しては、これまでそれほど関りがなかった業界(特にICT関連)も、近年は強い関心を持たれるようになり、技術参入が広く進んでいます。農業に必要な基盤的な技術は、工業と共通する部分が多い一方で、農業特有の課題や特徴があることも事実です。特に、農地は、面的な広がりのある低密度の生産装置であるという点や、作物生産が土という制御の難しいものに依存している点で、高密度な人やものを対象とする都市的な技術や、安定した環境が実現できる工場での製品生産と、大きく異なる場となっています。そのため、例えば、生産基盤を支える情報技術、特にセンシング技術は、精度を大幅に落としてでも低コスト化を図ることが必要でしょうし、導入すべき技術は、短期的に価値を持つものではなく、中長期的な投資として意味のあるものである必要があります。農業の内外を問わず、長い目で見て農地の持続的な活用にプラスになると思われるアイデアをお持ちの方は、是非お声掛け下さい。土壌の物性管理、農地の排水、農地に絡む環境問題など、幅広く研究を手掛けております。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  農業土木、農地、土壌、灌漑排水、水田、畑、農村、環境、
キーワード2  :  環境汚染、土壌汚染、気候変動、低炭素化、食料問題、食料自給、高齢化、過疎化