プロフィール

吉田 丈人

吉田 丈人

YOSHIDA Takehito

専攻 生圏システム学専攻 Department of Agricultural and Resource Economics
研究室 保全生態学研究室 Laboratory of Conservation Ecology
職名 教授 / Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

自然と共生する持続的な社会の実現に向けた生態学

生態系と生物多様性は、私たちの暮らし・社会・経済を根本から支える基盤であり「自然資本」と言われます。森林や草原、河川や湿地、干潟や藻場、農地や都市緑地といった多様な生態系と、それらの生態系に成立する生物多様性は、物質生産や栄養循環、水循環といった生態系の機能を絶えず発揮しています。この自然資本は、地球の長い歴史を通して蓄積されたストックであり、人類の生存を可能にしています。自然資本から、私たちの暮らしや経済に直結する多様な「生態系サービス」のフローが生み出されます。しかし、生態系と生物多様性は、過去数十年の間に急速に劣化し損失してきました。生態系と生物多様性を回復傾向の軌道に乗せるために、さまざまな取組みが進んでいます。私たちは、自然と共生する持続的な社会の実現に学術の面から貢献すべく、下記の2つの視点から研究を進めています。
① 自然がもたらす多様な恵みの理解と実社会での活用
自然がもたらす多様な恵みをグリーンインフラや自然を活用した解決策
(NbS)の視点から学際的に評価し理解するとともに、地域の多様な関係者と協働して具体的な保全・再生を実践する超学際研究を進めています。
② 生物多様性や生態系機能に対する人間活動の影響と効果
湖沼や水田の生態系などにおいて、富栄養化・生息地改変・外来種侵入などの人間活動による影響や、自然再生などの生態系管理がもたらす効果を評価するため、生態学の研究を進めています。

教育内容

フィールドで新たな問いに挑戦する生態学の力を身につける

 生態学は、自然と共生する持続的な社会の実現に貢献が期待されている重要な学問分野です。生態系と生物多様性の成り立ちや仕組みを理解することで、人と自然のかかわりの持続性確保に必要な知見を提供します。その中でも、保全生態学が扱うテーマは多岐にわたり、生態系と生物多様性に対する人間活動の影響や生態系管理の効果、自然がもたらす多様な生態系サービス(自然の恵み)、社会‒生態システムのダイナミクスなどが含まれます。また、生物学としての生態学研究だけでなく、ほかの学術分野と連携する学際研究や、社会の多様な関係者と協働する超学際研究まで、研究のアプローチもさまざまです。
 学問として蓄積されてきた知識を教科書や本から学ぶことも大切ですが、実際の自然のフィールドには、挑戦的な問いが今なおたくさん残っています。学部・修士・博士の段階に応じて、自分しか解くことのできない新たな問いに挑戦する学術の力をつけてほしいと思います。そのために、長年にわたり蓄積されてきた生態学の知識を学び、新たな問いを投げかけ、それに答えらるようなトレーニングの機会を提供しています。

共同研究や産学連携への展望

自然資本と生態系サービスの棚卸しに必要な情報提供

 地域における自然資本と生態系サービスの特性とそれらへの依存関係を把握し、中長期的な空間計画(土地利用や地域管理の計画)を整備することは、自然資本と生態系サービスの持続的な経営を着実に進めていくために必要です。とはいえ、自然資本と生態系サービスが地域の暮らしや社会経済をどう支えているかを評価することは、困難な作業です。地域の人々の暮らし、さまざまな産業などの経済、地域の文化や歴史などのそれぞれに対して、自然資本と生態系サービスは何らかの直接的および間接的な関わりを持っています。この関係は多様かつ複雑であり、時として見えにくく、数値化して評価することが難しいことも多いです。  土地利用と土地被覆は、自然資本と生態系サービスの評価の要となります。土地利用と土地被覆は、生態系と生物多様性そのものの一部であるとともに、環境条件や生息地の提供などを介して生態系と生物多様性の状態に深く関わっています。また、生態系サービスも土地利用と土地被覆に密接に関係します。
 私たちの研究プロジェクトの成果である「J-ADRES(自然の恵みと災いからとらえる土地利用総合評価)」では、市区町村ごとにさまざまな生態系サービスを評価し「自然の恵みの豊かさ」として地図とデータを公開しています。加えて、災害ハザードのある場所の土地利用と関連した「災害からの安全度」も評価しています。そのうえで、自然の恵みの豊かさと災害からの安全度の関係を、土地利用の総合評価として可視化しています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  生態学、陸水学、生態系、生物多様性、生態系サービス、ウェルビーイング、プランクトン、ダイナミクス
キーワード2  :  生物多様性保全、自然再生、グリーンインフラ、自然を活用した解決策(NbS)、レジリエンス、自然共生社会