森林生物科学専修

森林は木材資源の宝庫であるだけでなく、さまざまな公益的機能を通して人類や他の生物の生活に貢献しています。森林生物科学専修では、森林を構成する樹木を主な対象として、生理学的、遺伝学的、生態学的研究を行っています。また、微生物との共生や病虫害発生のメカニズムの解明等、他の生物群との密接な関係の解明にも取り組んでいます。講義科目の中にも、森林植物学、造林学、樹木学、森林生態生理学、森林遺伝育種学等、樹木に関係の深い科目が多く、また学生実習では、森林の樹木と直接触れ合って学習ができます。

応用生物学専修

応用生物学専修では多数の研究室が植物を対象とした最先端の研究を行なっており、植物の基礎的理解とその機能の利用を目指しています。講義では、農学の基礎分野である作物学、栽培学、育種学、園芸学、植物病理学をはじめ、植物を対象とした生理学、遺伝学、統計学などが学べます。また、学生実験では植物の形態、生理、遺伝等を理解する為の基礎的な実験から、分子生物学や分析化学などの手法を用いた応用的な実験も行なわれています。学生実習では実際に作物を生産する体験を通して、植物と農業との関わりを深く理解することができます。

緑地環境学専修

私たちの回りには、都市のみどり(公園、庭園、街路樹、住宅庭園)から、農村のみどり(水田、畑、草地、屋敷林、社寺林、里山)、自然風景地のみどり(国立公園、国定公園、天然記念物)まで、さまざまな緑地空間があります。これらのみどりは、私たちの暮らしにゆとりやうるおいを与えるだけでなく、気候緩和、防災、生物多様性保全など幅広い機能をもち、安全で快適な生活に不可欠な役割を担っています。緑地環境学専修では、緑地空間を構成する植物の構造や機能を、個体レベルからランドスケープレベルまで、さまざまなスケールで理解するための研究教育を行なっています。

木質構造科学専修

本専修であつかうローマテリアルとしての主な資源として、植物由来の木材、竹、葦(藁)ほかがあります。これらの持続的利用が可能な植物由来の資源を住宅の建材として、土木資材として、また家具やほかの製品に有効に使ってゆくことを研究することで、循環型社会構築に寄与してゆくことを目的としています。

フィールド科学専修

フィールド科学専修では、人間活動によって生じた生態系の様々な問題について、その本質を理解し、解決できる人材の育成を目指しています。そのため、水域、森林、農地、都市など多様なフィールドを対象とし、生態学の基礎的理論、生物多様性科学、保全生態学、ランドスケープエコロジー、生態遺伝学、環境生態学など、幅広い学問分野を総合的に学びます。また、実践的な経験と理解のために、海、森林、里地、自然公園など様々なフィールドに出かけていき、多様な動植物を観察するとともに、生物と環境との関係やそれらの保全について考える野外実習を数多く実施しています。

生物素材化学専修

生物素材化学専修では、植物の細胞壁を構成するセルロースやヘミセルロースなどの多糖成分、リグニンのような芳香族化合物に関する基礎的な知識や、実際にこのようなバイオマス構成成分を利用するために必要となる実験手法などを学ぶことができます。課程専門科目として植物バイオマス化学、植物繊維科学、生物材料組織学などの講義に加えて、生物材料化学実験、生物材料物理学実験、生物材料生物学実験、生物素材化学実験などの学生実験を通して、植物由来のバイオマスに含まれる成分に関して知識を深め、それらをどのように変換し利用していくのかを学ぶことができます。

生命化学・工学専修

生命化学・工学専修でのでは植物の生産性向上や環境負荷低減を目指した研究を行っています。本専修の植物研究は化学に根ざした無機栄養(無機化学)や植物ホルモン(有機化学)研究から発展してきました。現在では植物の栄養輸送機構、不良土壌や乾燥等の物理的ストレスに対する応答や耐性、栄養の代謝調節、植物ホルモン等の有用有機化合物の作用や利用についての研究が進められています。本専修は、植物が生み出す食糧やその微生物による変換から動物まで幅広い領域をカバーしていますが、講義や学生実験、圃場実習を通じ一次生産者である植物の生産について生産物の利用についても意識しつつ圃場現場から研究までを通じて学ぶことができます。

生物・環境工学専修

生物・環境工学専修では、植物の環境を適切に管理・制御することで、植物の有する価値を合理的・効率的に高めるという観点から、教育・研究を行っています。特に近年は、植物の農産物としての側面だけでなく、エネルギー資源や有用物質原料としての側面にも着目しています。授業では、植物と環境との間における物質と熱の移動を介した相互作用について学びながら、植物の生産性や機能性を高めるための工学的手法の基礎を習得します。研究では、環境保全型農業の確立、地球環境問題の解決、バイオマスエネルギーの開発と利用、先進的植物栽培システムの確立などの、植物が関わるテーマについて、おもに工学的手法を活用して取り組んでいます。

水圏生物科学専修

水圏生物科学専修では、地球の生物的炭素固定の約半分を担い海洋の食物連鎖の起点となっている植物プランクトンと海藻類などの水生植物の分類・生理・生態に関する教育研究を行っています。植物プランクトンは沿岸域では時に赤潮などの環境問題を引き起こす一方、バイオマス燃料や医薬品の原料としての役割も期待されています。課程専門科目の浮遊生物学と水生植物学では、水生植物の分類・生理・生態を学び、水圏環境科学で は環境と水生植物のかかわりについて学びます。水圏生物科学実験では植物プランクトンや海藻類の観察・同定技術を習得し、水圏生物科学実習で は環境要因と植物プランクトンの分布生態との関係を実地調査から考察します。

研究紹介 - 広報誌「弥生」から -

究極の怠け者微生物ファイトプラズマ( 関連専修:応用生物学専修 )

弥生59号

生産・環境生物学専攻 難波 成任 教授
世界中の農作物に甚大な被害をもたらす昆虫媒介性の謎の微小生命体「ファイトプラズマ」。初めて分子のメスを入れること20年、今春その全容が解明されました。その単純さ故に宿主である植物・昆虫の素顔を克明に暴きだし、生物学の統合的理解に新たな光を当てることができたのです。続きはこちら

「弥生」59号

植物の活動を見る( 関連専修:生命化学・工学専修 )

弥生59号

附属放射性同位元素施設 田野井 慶太朗 准教授
植物は、無機元素を養分として成長する「生産者」です。その生産活動を見るための技術を開発しています。続きはこちら

「弥生」59号

昆虫の大発生に強い森林、弱い森林( 関連専修:森林生物科学専修森林環境資源科学専修 )

弥生56号

秩父演習林 鎌田 直人 教授
森林というと静的なイメージが強いですが、実際はさまざまな生物が相互作用を及ぼしながら動的な平衡が保たれています。しかし、さまざまな原因でこのバランスが崩れ、ときには森林の衰退を引き起こすことがあります。続きはこちら

「弥生」56号