獣医学専修

獣医学専修は人類の幸福に資するために、動物を多角的に研究しています。人間が飼育管理している動物を目的別に分類すると、いわゆる家畜である産業動物、ペットなどの家庭動物など、動物園などで飼育・展示されている展示動物、試験・研究などに用いられる実験動物に分けることができます。その他に野生動物もいます。人間とこれらの動物との関係性はそれぞれ異なります。そのことを理解しつつ、獣医学専修ではこれらのすべての動物について、その正常と病的状態の構造と機能について、個体・細胞・分子レベルで総合的に学習します。それらの知識を基に、動物の病気の予防・診断・治療に当たります。

動物生命システム科学専修

動物生命システム科学専修では、哺乳類を主たる対象とした研究を通して、基礎生物学の発展,動物の多面的機能の解明と利用,さらには新奇バイオテクノロジー産業への応用と言った諸分野に貢献しうる専門的人材を輩出することを目的としています。哺乳類の理解に繋がる講義のみならず、動物個体や動物細胞を用いた実習の時間が多く確保されており、様々な分野で求められている「動物のエキスパート」になるための教育が充実しています。

フィールド科学専修

フィールド科学専修では、人間活動によって生じた生態系の様々な問題について、その本質を理解し、解決できる人材の育成を目指しています。そのため、水域、森林、農地、都市など多様なフィールドを対象とし、生態学の基礎的理論、生物多様性科学、保全生態学、ランドスケープエコロジー、生態遺伝学、環境生態学など、幅広い学問分野を総合的に学びます。また、実践的な経験と理解のために、海、森林、里、自然公園など様々なフィールドに出かけていき、多様な動植物を観察するとともに、生物と環境との関係やそれらの保全について考える野外実習を数多く実施しています。

応用生物学専修

「昆虫」は動物の中で70%以上の種数をしめる進化的な成功者です。昆虫には変態や休眠など特異な生物現象が観察され、形態や生態も非常に変化に富んでいます。それらは、長い時間をかけた遺伝子進化の結果です。応用生物学専修では多彩な手法を用いてこの「昆虫の謎」に迫ります。また、昆虫特異的な現象やそれを支配する遺伝子を活用または制御することで、有用物質の生産や害虫防除などに応用することを目指しています。課程専門科目では昆虫学、昆虫生理学、昆虫生態学、昆虫遺伝学、昆虫病理学などの科目を学べます。学生実験では昆虫学に関する基礎的な実習を行っています。

森林生物科学専修

森林には多様な植物が存在するだけでなく、非常に多くの動物種が生息しています。森林生物科学専修では、動物と森林や人間とのよりよい関係の構築を目指し、昆虫をはじめとした多様な動物を対象として、生態学的、行動学的、遺伝学的研究を行っています。具体的には森林生態系における動物の機能の解明や、害虫、害獣、あるいは希少種の生態学的研究、昆虫と微生物の共生関係の解明等を手がけています。講義科目の中には、森林動物学、野生動物管理論等、動物との関わりが特に深い科目があり、また学生実習でも実際に弥生キャンパス近隣や演習林等の森林で動物の生態を学ぶことができます。

生命化学・工学専修

昆虫から哺乳類まで様々な動物を用いて、興味深い生命現象を対象に、ホルモンやフェロモンなどの生物活性物質レベルから、それらの生合成、作用機構まで、幅広い動物研究を展開しています。必修および選択科目では、生物化学、生物有機化学、栄養化学、動物細胞生物学、構造生物学など、生体分子や生理活性物質の構造と機能から、細胞の情報伝達機構、細胞の発生や分化など、動物研究のための基礎的知識を体系的に学べます。遺伝子改変マウス・昆虫などの表現型を解析したり、分子生物学と神経科学の融合技術を駆使して脳科学に切り込みをいれたり、食品栄養および健康科学的な視点から、農学部ならではのオリジナルな動物研究を行っています。

水圏生物科学専修

水圏生物科学専修では、動物プランクトンから魚類、鯨類まで、水圏に生息する多種多様な動物を対象とした講義や実習を用意しています。研究に用いている動物種も、各種の動物プランクトンや寄生虫、カイメン、アサリ、カキ、シャコ、ウナギ、アユ、サケ・マス、メダカ、フグ、ティラピア、イルカなど、実に多岐に渡っています。これらの動物がみせるユニークな生態や生理現象を理解し、その謎を解き明かすことは本専修の大きなテーマの一つとなっています。そのために、各種の動物が生息するフィールドに出向いて調査や採集を行うこともあるほか、様々な動物種を飼育するための大規模な設備が用意されています。

研究紹介 - 広報誌「弥生」から -

再生医療が拓く動物医療の未来( 関連専修:獣医学専修 )

弥生61号

獣医学専攻 西村 亮平 教授
今、医療現場で最も期待されているもののひとつが再生医療です。実際の臨床応用には乗り越えるべき壁がまだまだありますが、我々はこの最先端技術を使って病気の動物たちを救うための研究を日々進めています。 続きはこちら

「弥生」61号

二枚貝養殖を病気から守る( 関連専修:水圏生物科学専修 )

弥生60号

水圏生物科学専攻 伊藤 直樹 准教授
二枚貝生産量は世界的に増加していますが、感染症による産業被害も多発しています。私たちは病原体と宿主の両面から二枚貝の病気を理解し、解決することをめざしています。 続きはこちら

「弥生」60号

動物の「心」を理解したい!( 関連専修:動物生命システム科学専修 )

弥生56号

応用動物科学専攻 武内 ゆかり 准教授

近年、ペットはコンパニオンアニマル(伴侶動物)と呼ばれ、多くの人たちが一緒に暮らすことで安らぎや癒しを享受しています。獣医学は動物の身体的健康を守るために発展してきましたが、現在は動物の「心」の健康を守ることにも力を注ぎ始めています。 続きはこちら

「弥生」56号