甘味およびそれに伴う心地よさを選択的に伝達する神経細胞の発見
- 発表者
- 傅 欧(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 博士課程(当時)、
自然科学研究機構生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 研究員)
岩井 優(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 修士課程(当時))
近藤 邦生(自然科学研究機構生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 助教)
三坂 巧(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 准教授)
箕越 靖彦(自然科学研究機構生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 教授)
中島 健一朗(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 特任助教(当時)、
自然科学研究機構生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門 准教授)
発表のポイント
- マウスの脳内において、甘味の情報を選択的に伝える神経が存在することを発見した。
- この神経が消失すると正常に甘味が感じられなくなること、またこの神経が活性化すると甘味に伴う心地よさが生じることを実証した。
- 今回同定した甘味神経細胞そのものの活動を測定することで、甘味を定量的に評価できるだけでなく、他の味が甘味に与える修飾効果や、美味しさの定量的な評価にも役立つことが期待される。
発表概要
摂食は、動物にとって最も重要な本能行動の1つである。このとき味覚は、食物の価値を判断する際に大きな影響を与える。近年、舌の上で味覚がどのように伝えられるかに関する研究が進められてきたのに対し、脳内で味を伝える神経メカニズムについては、これまでほとんどわかっていなかった。今回、自然科学研究機構生理学研究所と東京大学大学院農学生命科学研究科の共同研究グループは、マウスにおいて甘味およびそれに伴う心地よさを選択的に伝達する神経細胞が脳幹に存在することを発見した。
本研究成果は、哺乳類の脳内において味覚伝達神経を特定することに成功した初めての成果であるとともに、美味しさの定量的な評価にも役立つことが期待される。
研究の詳細についてはこちらのページを参照ください。
発表雑誌
- 雑誌名
- Cell Reports(2019年5月7日公開)
- 論文タイトル
- SatB2-expressing neurons in the parabrachial nucleus encode sweet taste
- 著者
- Fu, O., Iwai, Y., Kondoh, K., Misaka, T., Minokoshi, Y., and Nakajima, K.*
- DOI番号
- 10.1016/j.celrep.2019.04.040
- 論文URL
- https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(19)30505-4
問い合わせ先
東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 生物機能開発化学研究室
准教授 三坂 巧(みさか たくみ)
Tel:03-5841-8117
E-mail:amisaka<アット>mail.ecc.u-tokyo.ac.jp <アット>を@に変えてください。