発表者
戸田 安香 (東京大学大学院農学生命科学研究科 共同研究員(当時)、明治大学農学部農芸化学科 特任講師、19名中1番目)
三坂 巧 (東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 准教授、19名中13番目)
Maude W. Baldwin (ドイツ・マックスプランク研究所、19名中19番目、責任著者)  他

発表のポイント

  • スズメ亜目鳥類の旨味受容体が糖を認識する機能を獲得していることを明らかにした。
  • スズメ亜目に属する鳥類では、花蜜以外を主食とする鳥類も、食糧源として花蜜を多く利用していることが分かった。
  • 味覚受容の変化に伴い、花蜜を有用な食糧源として活用できたことが、スズメ亜目が鳥類最大のグループへと繁栄するのに貢献したと示唆された。

発表概要


 花蜜を食べるヒヨドリ(上)、メジロ(下)

 味覚は食物を選択する上で重要な役割を果たします。口腔内には、甘味・旨味・苦味・酸味・塩味の基本五味にそれぞれ対応した味センサー(味覚受容体)が存在します。近年、味覚受容体のレパートリーやそれらの機能が、動物の食性と深く関わっていることがも分かってきました。一般に鳥類では、甘味を感じる口腔内のセンサーを失っているにも関わらず、花の蜜を主食とするハチドリがいるなど、不思議な現象も見出されています。
 今回、東京大学、明治大学、岐阜大学、北海道大学、ドイツ・マックスプランク研究所等からなる国際共同研究グループは、鳥類最大の種数を誇るスズメ目を対象に研究を行いました。その結果、スズメ亜目鳥類の旨味受容体が糖を認識する機能を獲得していることを明らかにしました。味覚受容の変化に伴い、花蜜を有用な食糧源として活用できたことが、スズメ亜目が鳥類最大のグループへと繁栄するのに貢献したのだと示唆されました。
 なお、本研究は科学研究費補助金(国際共同研究強化(B)、基盤研究(B))等の助成により実施されました。

 研究の詳細についてはこちらのページを参照ください。

発表雑誌

雑誌名
Science
論文タイトル
Early origin of sweet perception in the songbird radiation.
著者
Toda, Y., Ko, M.C., Liang, Q., Miller, E.T., Rico-Guevara, A., Nakagita, T., Sakakibara, A., Uemura, K., Sackton, T., Hayakawa, T., Sin, S.Y.W., Ishimaru, Y., Misaka, T., Oteiza, P., Crall, J., Edwards, S., Buttemer, W., Matsumura, S., and Baldwin, M.W.*
DOI番号
10.1126/science.abf6505
論文URL
https://science.sciencemag.org/content/373/6551/226

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 生物機能開発化学研究室
准教授 三坂 巧(みさか たくみ)
Tel:03-5841-8117
E-mail:amisaka<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp  <アット>を@に変えてください。