このたび、応用生命化学専攻の佐藤隆一郎教授が本年春の紫綬褒章を受章されました。

佐藤先生は本学で博士号取得後、学外の薬学(国内)・医学(海外)領域において、コレステロール代謝に関する研究を進めてこられました。細胞内において細胞膜の主要成分であるコレステロールの量は極めて緻密に制御されています。多岐に渡る制御機構の詳細について、分子細胞生物学的手法を駆使して明らかにしてきました。その後1999年に本学に戻り、国民の健康維持、健康寿命延伸を「食品」の機能を活用することにより達成するという農学的発想に基づき、基礎・応用研究を進めてこられました。生体内で代謝調節に関与する標的分子を見定め、その機能を調節する機能性成分を食品中から見出し、作用機序を分子レベルで明らかにするという独自性に富んだ研究手法を確立されました。これらの独創性に富んだ研究成果に対して、日本栄養・食糧学会賞(2013年)、日本農芸化学会賞(2016年)、飯島藤十郎食品科学賞(2017年)が授与されています。農学領域に分子栄養学的手法を取り入れた新たな食品科学研究分野を築かれた上に、2017年からは日本農芸化学会会長として同学問領域の発展に尽力されています。

このたびの受賞を心よりお祝い申し上げるとともに、先生のご健勝と益々のご活躍をお祈りいたします。

                 (大学院農学生命科学研究科・農学部 山内祥生)