生物材料科学専攻の岩田忠久教授が、2018年度高分子学会賞を受賞しました。
(左)加藤隆史高分子学会会長、(右)岩田忠久教授
このたび、大学院農学生命科学研究科・生物材料科学専攻・高分子材料学研究室の岩田忠久教授が、2018年度高分子学会賞を受賞されました。
高分子学会賞は、我が国の高分子科学および技術の進歩をはかるため、高分子科学、技術に関する独創的かつ優れた業績に挙げたものに授与されます。
<受賞業績>
高性能バイオマスプラスチックの構造制御とその応用
現在、持続可能な物質生産システムの構築と子々孫々にまで美しい地球環境の保護のために、石油を原料とせず、再生産可能なバイオマスを出発原料として生産される「バイオマスプラスチック」と環境中の微生物が分泌する分解酵素によって二酸化炭素と水にまで完全に分解される「生分解性プラスチック」の開発が望まれています。
岩田忠久教授は、環境中で分解する生分解性バイオマスプラスチックを生物および化学的手法により合成するにとどまらず、耐熱性に優れたフィルムや世界最高強度を有する生分解性繊維の作製と新規な成形加工技術の開発、大型放射光を用いた構造と物性との相関解明、分解酵素を用いた生分解性速度の制御機構の解明など、分子レベルの基礎研究を遂行することを通じて、生分解性バイオマスプラスチックの高性能部材化に成功しました。
また、岩田教授の研究手法および成果は、汎用高分子にも応用可能であることから、高分子科学全般の発展にも大きく寄与しています。さらに、農学的手法・考え方と工学的手法・考え方を常に融合させ研究を進める「農工学」の概念を提唱するとともに、国内外の共同研究を通じて、岩田教授は生分解性バイオマスプラスチックの学術分野を先導しています。
高分子学会賞授賞式は、2019年5月30日に大阪府立国際会議場で行われました。