令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、勝山 陽平准教授が若手科学者賞を受賞致しました。本賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者が対象になっています。

【受賞業績名】
「放線菌由来二次代謝産物の生合成機構に関する研究」

【研究内容】
放線菌は有用生物活性を示す二次代謝産物を数多く生産することが知られています。そのため、多くの医薬品、動物薬、農薬が放線菌から見出されてきました。勝山准教授は放線菌の二次代謝の力をさらに有効活用すべく、様々な二次代謝産物の生合成機構の解析を行ってきました。その中でも特に重要な研究の一つはジアゾ基含有化合物の生合成機構の解明です。ジアゾ基 (=N+=N-) は反応性の高い置換基であり、生物活性に重要な役割を持ちます。まず、ジアゾ基を持つクレメオマイシンの生合成機構の解析を行い、ジアゾ基が二次代謝専用の亜硝酸生合成経路を用いて作られることを明らかにしました。さらにこの情報とゲノムデータベースを活用し、古くから抗がん剤として知られるジアゾ基を持つトリペプチド、アラゾペプチンの生合成経路を解明しました。本研究によって、ジアゾ基生合成酵素が世界で初めて明らかになりました。また、二次代謝を担う酵素のメカニズムを分子レベルで解明する研究にも取り組んでおり、顕著な成果を上げています。本研究がさらに発展し、放線菌の二次代謝産物の生合成機構の理解が進めば代謝経路を改変して新規医薬品を創製することが可能になると期待されます。

 【受賞者リスト】
令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
https://www.mext.go.jp/content/20220404-mxt_sinkou01-000021762_2.pdf