磯貝明特別教授(当研究科生物材料科学専攻)が2022 年度江崎玲於奈賞を受賞しました。

○江崎玲於奈賞とは
ナノサイエンスあるいはナノテクノロジー、ならびに量子効果が顕わに関わる物性に関する研究に携わり、顕著な研究業績を挙げた研究者を顕彰することにより、科学技術の振興、ひいては産業の活性化に寄与する事を目的としています。

○授賞の対象となった研究主題及び研究内容
〈研究主題〉
植物由来の完全分散化セルロースナノファイバーの創製と応用に関する研究
〈研究内容〉
植物の主要構成成分であるセルロース繊維は、大気中の二酸化炭素と水から生合成される地球上で最大蓄積量かつ最大年間生長量が見込まれる再生産可能なバイオ素材です。しかしこれまでは、セルロースをかたち作る最小の構造要素であるミクロフィブリルをその構造を保ったままナノファイバーとして単離し、分散させる方法がなかったために、機能材料としての広範な応用が阻まれていました。磯貝特別教授は、水系・常温・常圧という温和な条件下での触媒的酸化反応によって、セルロース繊維から超極細(約3ナノメートル)かつ均一幅のナノファイバーを分散・単離する画期的な手法を創出するとともに、単離ナノファイバーの表面構造を制御する方法をも確立し、新素材として多様な応用の道を拓きました。この成果は、セルロースの低環境負荷型先端材料としての広範な応用への途を拓くものであり、持続可能型社会の実現に向けてのナノサイエンス・ナノテクノロジーの大きな貢献を示す業績です。