本セミナーは農学生命科学研究科主催、林野庁後援で開催され、森林科学専攻OB(森林経理学研究室1988年卒)である織田央長官が基調講演を行ったほか、研究者として国立環境研究所の伊藤昭彦氏から、地球規模課題への対応と最新の科学及び関連国際動向について報告しました。更に本学から、平尾聡秀フィールドセンター長による講演「森林GX/DXと社会協創:Nature-based solutionsの東大モデル」、香坂玲教授による講演「生物多様性条約15回締約国会議の結果概要」を行いました。基調講演に続き、研究者による研究報告も行われ、活発な議論が展開されました。今後さらなる交流が展開されることを願いつつ、閉会となりました。

セミナーは事前申込制による対面開催での実施で、科学と政策の対話のテーマのもと、本大学農学生命科学研究科の研究科長が冒頭、専攻長が閉会の挨拶を行い、参加者も100名弱となり、盛会の開催となりました。ご協力ありがとうございました。


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基調講演では、「グリーン社会の構築に向けた森林・林業政策について」というテーマで気候変動と森林における世界の状況から日本の森林管理の現状や計画の紹介、また循環利用のための政策事例を紹介がありました。また、本研究科附属演習林の平尾聡秀センター長が、ダイアローグの場としての東大演習林の役割や持続可能な林業、森林管理、現場での研究を通したGXへの挑戦の事例を紹介し、DXでデータ知見の共有化、GXアプローチの総合化によるマルチプラットフォームでのGXに向けた東大演習林モデルについて報告しました。さらに、国立環境研究所の伊藤昭彦氏による講演「ネットゼロ実現に向けた森林の役割と管理」では、パリ協定のしくみからグローバル・ストック・テイクGST、日本独自の取り組みを紹介し、CO2吸収・バイオマス供給能の現状とそれらを把握することによる森林価値の再認識の重要性を報告しました。最後の講演として、本研究科森林科学専攻香坂玲教授が、生物多様性条約とCOP15に関する紹介と、森林管理と併せた取り組みの重要性について報告しました。その後のディスカッションでも活発な議論が行われ、今後の交流の推進が期待できる機会となりました。