サントリーホールディングス株式会社と当研究科は、生態水文学研究所の森林を高機能・多機能な森林に誘導することを目指した森林整備、研究を実施するための森林整備協定および研究協定を2024年4月1日に締結しました。

4月5日に行われた協定締結式の様子

関係者集合写真

誘導の目標とするのは水源涵養林としての高い機能を持った森林、生物多様性に富んだ森林、洪水・土砂災害等に強い森林、豊かな自然や地域の文化・歴史と触れ合える森林、地域社会と調和した森林、持続可能な施業を実施する森林です。最大100年に及ぶ気象・水文水質・土砂・植生の観測データを有する生態水文学研究所では、サントリーホールディングス株式会社や地域社会とも連携しながら森林整備活動、研究活動に取り組んでいく予定です。

 

予定されている森林整備活動(例)
  • 森林の水源涵養機能、土砂流出防止機能の向上に向けた整備
  • 森林の生物多様性の保全に向けた整備
  • 地域社会と調和した都市近郊林の整備
  • 森林整備体験・環境教育を通じた森林整備
予定されている研究活動(例)
  • 水文・水質や土砂流出に関する研究
  • 森林の生物多様性の保全に関する研究
  • 地域社会と調和した森林の維持管理に関する研究
  • 森林の循環利用に寄与する研究

※生態水文学研究所とは

生態水文学研究所は1922(大正11)年に現在の愛知県瀬戸市、犬山市に創設された、面積1,290ヘクタール余りの演習林です。設置当初はほとんどはげ山の状態でしたが、砂防工事や植栽を経た現在では全域が緑に覆われています。緑が回復していく過程も含め、気象観測や量水観測を100年間続けてきました。今後も観測を継続し、森林と水、そして人間社会との関わりを明らかにすることを目指しています。詳細はこちら

森林整備協定の対象となる生態水文学研究所犬山研究林(画面中央は犬山市施設)
(2020年撮影、東京大学生態水文学研究所)

犬山研究林 秋のふれあい観察会
(2023年撮影、東京大学生態水文学研究所)

創設された頃の犬山研究林土堰堤
(1929年撮影、東京大学生態水文学研究所アーカイブズ)

現在の犬山研究林土堰堤
(2022年撮影、東京大学生態水文学研究所)