農学部学生有志20名による「飯舘村ホッププロジェクト」は、福島県飯舘村でホップを栽培し、この度、オリジナルクラフトビール【IITATE ReCRAFT】をリリースいたしました。このビールは、飯舘村の産業振興を目指して学生が村内で栽培したホップを使用しており、村内での提供・頒布を行っているほか、東大生協(第二購買部)でも入手できます。

研究フィールドである飯舘村への恩返しを

 阿武隈山系北部の高原に位置する自然豊かな福島県飯舘村は、福島第一原子力発電所の事故によって全村避難を経験し、2017年の避難指示の解除以降、少しずつ復興に向けて前進している、という状況にあります。農学国際専攻の溝口教授は、震災発生直後の2011年から飯舘村に入り、2017 年3月に東大農学部と飯舘村の連携協力協定を結び、村の復興に向けた総合的な農学*を展開しています。

 農学国際専攻とIPADSの学生は、2012年から農学国際特論Ⅰ等のグループ学習**で飯舘村に何度も通い、村の豊かな自然に触れるとともに、いつでも優しく迎え入れてくださる村の方々との交流を重ねてきました。震災から立ち上がろうとする村民の皆さんの熱い想いにも触れた私たちが、村の方々の想いと共にできる具体的な活動として2023年度から始めたのが、この「飯舘村ホッププロジェクト」です。農学国際専攻の学生を中心に有志が集まり、飯舘村でのホップ栽培やビールづくりに関わることによって、飯舘村の美しい自然や人々の魅力を広く伝え、村の地域活性化や関係人口創出を目指す取り組みです。

 飯舘村内のゲストハウス【COCODA】様の圃場をお借りして始まったホップ栽培は、何もかも初めての挑戦でしたが、村の皆さまのサポートをいただきながら、少しずつ前へと進めることができました。途中、病害虫の被害にも苦しみながら、2024年8月にはホップを無事に収穫することができました。そして、収穫されたホップは、福島市内のブリュワリー【Yellow Beer Works】様でそのままビール醸造に使用され、このIITATE ReCRAFTが完成いたしました。素敵な缶のラベルは村内でのローカルプロデュースをされている図図倉庫の【矢野淳】様にデザインしていただくなど、飯舘村・福島県内の多くの皆様のご協力のもとで、このビールが完成いたしました。

 このような経験を通して私たちは学生時代に社会起業家マインドを感じることができました。「課題志向性」「学際性」「国際性」を理念とし、農学各分野を横断的に俯瞰する教育を受けている農学国際専攻の学生の行動力から誕生したオリジナルクラフトビールを、ぜひ皆様お楽しみください。

※本プロジェクトは、農学国際専攻の国際情報農学研究室、One Earth Guardians育成機構、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構、公益社団法人農業農村工学会の支援を受けて実施しました。

*福島から始まる復興農学 
**学生による飯舘村調査報告書

飯舘村ホッププロジェクト公式Instagram

これまでのメディア掲載等

(文責:志賀智寛・畑上太陽;農学国際専攻M2)