プロフィール

一般の方へ向けた研究紹介

山や森での水や土のうごきを理解し予測する

 山や森に降った雨は、どのように川に流れ出ていくのでしょうか。また、山で生まれた土砂はどのようにして平野や海へ運ばれていくのでしょうか。私たちは、野外での観測や実験室での分析、コンピュータを使ったシミュレーションなどを通して、その仕組みを研究しています。
 近年、気候変動の影響で大雨の頻度や強さが増えています。水資源を適切に管理したり、土砂災害を防ぐためには、大雨のときに山で水や土砂がどのように動くのかを理解し、予測できるようにすることがとても重要です。 これまでの研究から、山では土壌だけでなく、その下にある岩盤も雨水を貯めたり流したり、水質を左右したりする大事な役割を持つことがわかってきました。山地流域は、森や土壌に覆われた斜面と、斜面からの水を集めて下流へ運ぶ川からできています。こうした山地流域は、雨が降ったときに洪水のピークを遅らせたりピーク流量を減らしたりする「天然のダム」のような働きを持っています。 ところが最近の観測で、大雨の際に洪水を和らげるのは主に斜面ではなく、川を流れる過程である場合があることがわかりました。大雨のときに山で観測するのはとても難しいため、まだ解明されていないことがたくさんあります。

教育内容

自然を見る目、本質を見抜く力を

 野外フィールドでの水や土、土砂、森林の観測や分析を通じて、荒々しくも繊細な自然現象を少しずつ解き明かしていく楽しさと喜びを伝えます。演習林には100年以上にわたり蓄積されたデータや知見、人材があり、それらを活用することで、長い時間スケールや広い空間スケールにおける人と森との関わりや自然の振る舞いを学ぶことができます。私たちは、森林科学に関する専門知識と、本質を見抜く力を兼ね備えた人材の育成を目指しています。

共同研究や産学連携への展望

100年後も人類が地球上できげんよく暮らせるように

 100年後も人類が地球上で幸せに暮らせるようにと願い活動する仲間として、山での水や土砂の振る舞いについて、長期的で広い視野をもって共同・連携して研究できることを望みます。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  水、土、山地流域、河川、斜面、降雨流出、土砂流出、渓流水質、蒸発散、森林水文、砂防工学、はげ山
キーワード2  :  気候変動、人為攪乱、洪水災害、土砂災害、山地保全、森林管理、河川管理