プロフィール
専攻 |
生圏システム学専攻
Department of Ecosystem Studies
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研究室 |
森圏管理学研究室
Forest Ecosystem Studies
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職名 |
教授 / Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
森林生態系機能の時空間変動を解明し人間社会との関係性を考える
地球の陸地の約1/3は森林で占められており、その面積は約40億 ha あります。森林は多様な生物の生息場所となっているばかりでなく、地球環境の維持や私たちの日々の暮らしを支える資源の提供など、様々な機能を持っています。しかし、今日、森林の維持に関しては、開発による面積の減少、木材の過剰な利用による質的な劣化など様々な問題が生じています。
こうした中、森林を健全な状態で将来に残してゆくことは現代に生きる私たちの責務であり、そのためには森林生態系のありさまを科学的に理解し、その維持のための適切な方策や技術を確立してゆくことが不可欠です。
私はこれまで日本列島の森林生態系を主な対象に、ブナやスギなどの広域分布樹木の機能的地理変異が生物多様性や生態系機能に及ぼす影響や、気候変動下における森林の長期動態、生物間相互作用に及ぼす光と栄養塩バランスの影響などを明らかにしてきました。また一般書の出版などを通して、この世界を持続可能なものとするためには人間社会と自然生態システムが相互に関係していることを真に理解する必要があることを紹介しています。
私たちの研究は、森林やそこに生息する生物の多様性をどのように維持してゆくかについて考え、行動する学問と位置づけています。特に、人間活動との関係性に重点を置いて森林の維持を考えることにより、多様で豊かな森林の持続的維持に寄与できる知見や技術の獲得、提案を目指しています。
教育内容
Terra incognita! 共に知の地平を切り開こう!
私たちの研究室では、各地の森林でのフィールドワークや実験室での分析、モデリングを通して遺伝子レベルから生態系レベルまでの多様性とその機能を明らかにする研究を行っています。このような研究の過程は様々な困難を伴いながらも、とてつもなくワクワクする体験です。そしてそれを人類の知の財産となし、社会のありようにもインパクトを与えることは大きな意味のある営みです。
学生時代にこうした経験を重ねることは、研究職に限らずどんな職業に就いても必ず役に立つことでしょう。これまでの在籍者は東京大学、京都大学、北海道大学、筑波大学、岡山大学、愛媛大学、富山大学、香川大学、高知大学などアカデミアに残って研究を続け、大きな研究成果を出しています。また、官公庁、出版社、シンクタンクなどにも多数の人材を輩出しています。
共同研究や産学連携への展望
森林炭素蓄積能など生態系サービスの評価や自然資本の基盤情報収集を行なっています
当研究室は環境省モニタリングサイト1000森林分野のネットワークセンターとしても機能し、全国の森林生態系の生物多様性や生態系機能の長期モニタリングデータの解析とアーカイブを行なっており、これらも含めた全国の森林炭素蓄積能の評価やモデルシミュレーションによる将来予測など生態系サービスの可視化にも取り組んでいます。
また、世界遺産科学委員会やナショナルトラストの森林再生の取り組みにも参画しており、生物多様性の保全や評価を行なっています。
これらを活用した行政施策への貢献や、企業に対する自然資本の基盤情報の提供にも対応可能です。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 森林生態系、地理変異、生物多様性、生態系機能、スギ、ブナ、気候変動、炭素循環、生物間相互作用
キーワード2 : 気候変動、生態系サービス、炭素蓄積