プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
山地流域での水や土砂の動態を解明し,流域の保全や防災に役立てる
日本の国土の7割を占める森林のほとんどは山地に存在します.ですので,山地に降った雨がどのように川に流れ込むのか,いつどこで災害が発生するのか,森林が水や土砂の動きにどのような影響を及ぼすのか,などを明らかにすることは,健全な国土の保全と,我々が安全に,安心して生活するために重要です.
そのような観点から,がけ崩れや土石流,侵食など,災害に繋がる土砂移動現象を幅広く研究しています.また,森林流域からの水・土砂流出の実態解明や,森林の管理でそれらをどのように制御することができるか,という課題に取り組んでいます.多様な自然現象を理解するために,実験や数値シミュレーション,現地調査など,さまざまな研究手法を用います.
結果として,一見複雑に見える現象や,全く別のように思える現象が,多くの場合,共通の単純な原理に従うことが分かってきました.同じ現象が,例えば地下水位の発生の仕方や,土砂移動に含まれる砂粒の大きさなど,場所や材料のちょっとした違いで,形態や規模を大きく変えるのです.一方で,土砂移動現象の違いは,立地環境の変化を生み出すことで,森林の多様性を向上させます.災害まで含む水や土の不断の動きが,私たちが享受する豊かな自然の基盤だと言えるでしょう.その理解は,自然と適切な距離感をもって暮らすうえで欠かせないと考えています.
教育内容
100年後の国土をデザインしよう!
災害や森林に関わる施策が大きく変わりつつあります.土砂災害対策では,発生予測に基づく警戒・避難態勢の整備などソフト対策の重要性が増してきましたし,森林管理には,木材生産だけでなく,土砂災害防止,水源涵養,炭素固定など,森林が有する多面的な公益機能を最大限に発揮することが求められています.それらに共通して言えることは,自然現象の定量的な評価や将来予測が意志決定の根拠として欠かせない,ということです.
講義では,森林科学という学問体系の中で,水・土砂の動態や,土砂災害とその対策について,メカニズムに基づく理解を促します.実習での「測定方法」の習得は,現象の理解を実感を伴ったものにするために不可欠です.研究では,関連のテーマに取り組みつつ,他分野・他機関との共同研究を通して,世界を広げることができます.
気候変動下の世界では,水や土砂に関して将来的により多くの問題が発生することが懸念されており,科学的な根拠に基づいてそれらの問題解決に資する人材を育成することが我々の使命だと考えています.かつて荒廃していた日本の国土は,明治政府による治水三法の施行で急速に森林が回復したという実績があります.気候変動に加え,過疎化や高齢化,人口・社会資本の減少を迎える日本において,皆さんには,より良い未来のために,国土のグランドデザインを担って貰いたいと願っています.
共同研究や産学連携への展望
効果的な土砂災害対策,森林管理のための技術・情報提供
災害時の自助・共助の重要性は今後さらに高まり,気象予報や防災に関する近年の各種の民間サービスの登場は,自助・共助の選択肢の増加と,より効果的な社会実装に繋がっていきます.地域性の強い土砂災害の適切な対策には個別の現象の科学的な評価が不可欠ですが,そこで必要となる各種のモニタリングや予測手法に関する研究を実施しています.
また,今後の森林管理についても,求められる機能の違いに対応する形で地域の特色を反映したものになっていくと考えられます.アメリカ合衆国では,最適管理施業(Best Management Practices)が州ごとに定められ,数理モデルを用いた施業シナリオ分析などを経て,森林管理の方針(ゾーニングや施設配置など)が決定される例が見られますが,同様のモデルを用いた森林の機能評価を実施しています.
土砂災害対策や森林管理について,関係省庁や自治体の各種委員を務めており,最新の動向を踏まえた助言や提案が可能です.
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 森林、水、土、地形、災害、気候変動
キーワード2 : 森林保全、流域管理、防災、将来予測