プロフィール
専攻 |
附属演習林
The University of Tokyo Forests
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研究室 |
樹芸研究所
Arboricultural Research Institute
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職名 |
助教 / Research Associate |
一般の方へ向けた研究紹介
熱帯・亜熱帯産の植物による有用物質の生産研究に取り組んでいます
森林での事象を主に化学的な観点から解明し、森林の有効利用につなげたいと考えています。熱帯・亜熱帯産の木本を中心とした植物による有用物質の生産研究に取り組んでいます。日本の環境では増殖が困難な、外国産有用植物の増殖研究にも取り組んでいます。
植物個体内の特定の部位でしか生産されない有用な化学物質が多く知られています。特に、樹木の幹の中心近くでしか作られない化学物質は、長い間育った木を切り倒す他に手に入れる方法がありません。このような化学物質を、本来とは別の部位でも生産させることが可能になれば、目的物質の入手が容易になるだけでなく、植物体の保護にもつながると期待されます。
広く利用される天然香料には植物由来のものが数多くあります。その中には、植物の原産地周辺で行われる伝統的な手法でのみ生産されるものがあります。そのような手法を改良し、例えば日本国内で、誰でも簡単に目的の香料を生産できるようにするための研究も進めています。
熱帯・亜熱帯産の有用樹木には、増殖の難しいものが少なくありません。これを解決する手法の確立にも取り組んでいます。
教育内容
全学体験ゼミナールや野外実習の指導にあたっています
私の所属する東京大学演習林では、教養学部前期課程の「全学自由研究ゼミナール」、「全学体験ゼミナール」、「総合科目」等が多数開講されています。分担教員としていくつかの講義に参加しています。
通常の業務において、温室における熱帯・亜熱帯産の有用植物の管理に携わっています。温室を主な実施場所とする講義では、それらの有用植物に関する基本的な知識や利用法、現在取り組んでいる研究についてお伝えしています。
別の講義では、森林で見られる様々な事象について、主に植物が産生する化学物質の作用や役割にフォーカスしてお話ししています。人間が森林を利用する際に問題となる種々の危険物質についてもお伝えしています。
専門課程の野外実習にも携わっています。野外調査についての基本的な知識や手法を指導する他、実習スケジュールの管理にもあたっています。
共同研究や産学連携への展望
樹木心材成分の生産制御研究や天然香料の新たな生産法開発に取り組んでいます
樹木の心材成分を、樹体内の他部位や培養細胞で生産させる試みを続けています。具体的にはビャクダン(Santalum album)を研究対象としています。同種は半寄生の独特な生態を有し、育成が容易ではありません。心材成分の取得を目的とするため収穫可能になるまでには長い年月がかかる上、収穫に伴って個体全体が失われることにもなります。本研究での手法が確立されれば、目的物質の入手が容易になるのみならず、植物体の損失を回避する効果も期待されます。
植物由来の天然香料の生産手法の改良にも取り組んでいます。天然バニラ香料は、主にバニラ果実の生産現地周辺で行われる伝統的な熟成工程を経て生産されます。日本国内で収穫されたバニラ果実の熟成方法を検討し、再現の難しい伝統的手法に依らず、国内でも簡単に天然バニラ香料を生産できるようにする研究を進めています。
熱帯・亜熱帯産の有用樹木には、増殖の難しいものが少なくありません。パラゴムノキ、ユーカリなどのクローン増殖技術の確立に取り組んでいます。挿し木や接ぎ木の他、不定芽・不定胚誘導など組織培養の手法も試みています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 樹木、二次代謝、増殖
キーワード2 : 森林破壊