プロフィール

溝渕 悠代

溝渕 悠代

MIZOBUCHI Haruka

専攻 応用動物科学専攻 Department of Animal Resource Sciences
研究室 応用免疫学研究室 Laboratory of Molecular Immunology
職名 助教 / Associate Professor
researchmap リンク

一般の方へ向けた研究紹介

お母さんの病気が、赤ちゃんの未来を変える?

 妊娠中にお母さんが感染症にかかると、赤ちゃんにどんな影響があると思いますか?たとえば風疹のように、病原体が胎児に感染すると、目や耳に障害が出ることがあります。でも実は、病原体が赤ちゃんに直接うつらなくても、母体の「炎症」が赤ちゃんの体に大きな影響を与えることが、近年の研究で分かってきました。
 この考え方は「DOHaD(Developmental Origins of Health and Diseases)」と呼ばれ、胎児期の環境が子どもの将来の病気リスクに関係するという新しい研究分野です。たとえば、妊娠中の栄養不足が子どもの将来の生活習慣病につながったり、母体の急性炎症が子どもの発達障害のリスクを高めたりする可能性が報告されています。
 私が研究しているのは、「慢性の感染症」が母体にあるとき、赤ちゃんの免疫にどんな影響が出るか、ということです。このテーマはDOHaD分野でもまだほとんど研究が進んでいません。具体的には、途上国で貧困層を中心に流行している「内臓型リーシュマニア症」という寄生虫感染症に注目し、マウスを使って実験をしています。その結果、見た目は元気な子でも、ワクチンへの反応が弱くなるなど、免疫機能に異変が起きることが分かってきました。 将来、このメカニズムを解明し、母子に優しい治療法をつくることを目指しています。あなたも一緒に、「未来の健康をつくる研究」に挑戦してみませんか?

教育内容

異分野の交差点から、新しい“挑戦”が始まる

 DOHaDに基づいた「トータルライフヘルスケア」を実現するためには、発達期や疾患別に細かく分かれた従来の医療の枠を超え、分野を横断した視点が欠かせません。さらに、医学・生物学にとどまらず、栄養学や疫学、経済学などの知見を統合する学際的アプローチも重要です。私が所属する日本DOHaD学会では、小児科や産婦人科、獣医学、免疫学、さらには社会科学系の研究者まで、多様な専門家が集まり、活発な議論を行っています。
 私たちの研究室でも、動物実験を用いた基礎研究に取り組みつつ、臨床や疫学のデータとも照らし合わせて、社会や現場のニーズに応える応用研究を推進しています。学生の皆さんには、こうした研究現場に早い段階から関わり、自分の専門を異分野と“つなぐ力”を育ててほしいと考えています。
 また私は「DOHaD若手の会」の一員として、研究成果を社会にわかりやすく伝える活動(ポスターやカルタ制作など)にも取り組んでいます。研究に加えて、社会への発信やチームでの活動に興味がある方は、ぜひ気軽に話を聞きに来てください。

共同研究や産学連携への展望

母と子の未来を守る、新しい免疫のカタチを共に創ろう

 私たちの研究は、母親の慢性感染症が子どものワクチンに対する免疫反応を長期間にわたり低下させることを示しています。これは寄生虫感染症が広がる地域で、次世代の免疫力が弱まる可能性を警告する重要な発見です。こうした免疫力の低下は、新たな感染症の重症化リスクを高める危険性があり、COVID-19のようなパンデミックに対しても深刻な影響を及ぼしかねません。このため、感染メカニズムの解明と、効果的な介入治療の開発は喫緊の課題です。
 しかし、妊娠中のすべての感染症を完全に防ぐことは難しく、免疫抑制剤の使用は母体や胎児にリスクを伴います。そこで私たちは、胎児や発達期の安全を最優先に考え、化学薬品を使わない自然由来の機能性成分やシンバイオティクスを活用した介入法の開発を目指しています。これはお母さんも赤ちゃんも安心して使える治療法の実現に向けた挑戦です。
 この分野での共同研究や産学連携にご関心のある企業・研究者の方々、ぜひ私たちと一緒に未来の健康を支える新たなソリューションを創りませんか?

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  母子免疫、免疫記憶、母子感染症、妊娠、DOHaD、マクロファージ、リーシュマニア症、寄生虫、病態
キーワード2  :  母子健康、成育医療、顧みられない熱帯病、感染症