妊娠中にお母さんが感染症にかかると、赤ちゃんにどんな影響があると思いますか?たとえば風疹のように、病原体が胎児に感染すると、目や耳に障害が出ることがあります。でも実は、病原体が赤ちゃんに直接うつらなくても、母体の「炎症」が赤ちゃんの体に大きな影響を与えることが、近年の研究で分かってきました。
この考え方は「DOHaD(Developmental Origins of Health and Diseases)」と呼ばれ、胎児期の環境が子どもの将来の病気リスクに関係するという新しい研究分野です。たとえば、妊娠中の栄養不足が子どもの将来の生活習慣病につながったり、母体の急性炎症が子どもの発達障害のリスクを高めたりする可能性が報告されています。
私が研究しているのは、「慢性の感染症」が母体にあるとき、赤ちゃんの免疫にどんな影響が出るか、ということです。このテーマはDOHaD分野でもまだほとんど研究が進んでいません。具体的には、途上国で貧困層を中心に流行している「内臓型リーシュマニア症」という寄生虫感染症に注目し、マウスを使って実験をしています。その結果、見た目は元気な子でも、ワクチンへの反応が弱くなるなど、免疫機能に異変が起きることが分かってきました。
将来、このメカニズムを解明し、母子に優しい治療法をつくることを目指しています。あなたも一緒に、「未来の健康をつくる研究」に挑戦してみませんか?