プロフィール
専攻 |
応用生命化学専攻
Department of Applied Biological Chemistry
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研究室 |
栄養・生命科学社会連携講座
Nutri-Life Science Laboratory
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職名 |
特任教授 / Project Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
健康科学、生活習慣病、機能性食品、アンチエイジング、骨格筋、健康寿命
コレステロール代謝調節に関する分子細胞生物学的研究を精力的に進めてきました。生活習慣病の多くは脂質代謝制御の破綻に起因することから、メタボリックシンドローム、肥満の発症機構を解析する健康科学基礎研究、それらの予防、発症遅延を目指して食品の機能を活用する応用研究を並行して進めています。さらに近年は超高齢社会において健康寿命が重要視されることから、加齢とともに低下する骨格筋の筋量、機能を維持して自立活動が可能な期間を延伸させることを目指した骨格筋機能解析研究を進めています。そのような試みは抗老化作用を介して達成される可能性が高いことから、アンチエイジング研究も並行して進めています。また、現在は食品の機能を直接ヒトで検証することを目的に、独自の培養技術を駆使して、ヒトiPS細胞を用いた先端研究を展開しています。日々口にする食品の機能を活用して健康維持を目指す試みは、医療費増大を招く医薬品開発とは反対に、医療費の厖大化に歯止めをかけるという意義を持ちます。
教育内容
細胞生物学、分子生物学、動物、遺伝子、食品企業、製薬企業
私たちの実験科学の世界では、どれだけ積極的に手を動かして実験を行うかで成果が挙げられるかが決まります。私は2人のノーベル生理学・医学賞受賞者が運営するアメリカの研究室で4年間の研究修行をしてきました。膨大な研究偉業を成し遂げた両先生は口を揃えて、「95%以上の実験は失敗の連続」と言われ、確証が得られるまで何度となく実験を繰り返すことを要求されました。私の研究室では両先生のスタイルに倣い、精力的に研究を進め、週一の研究進捗報告、土曜日のセミナーなど多忙なスケジュールを設定しています。学生さんの多くは分子細胞生物学的な基礎研究に従事し、一部の学生さんはそこから発展した食品機能を解析する応用研究を担当しています。若い時期に集中的に学業に向き合う機会を持つことは、社会に出てからの成長の重要な糧となります。本研究室の出身者の多くは食品企業、創薬企業等の研究・開発職あるいは大学等の研究職として活躍しています。優秀な先輩卒業生の活躍ぶりを見て、複数の企業からは求人・推薦の依頼が来ます。
共同研究や産学連携への展望
ヒトiPS細胞、代替実験法、小腸オルガノイド、肝臓オルガノイド、機能性食品創製
現在食品企業の研究所では動物愛護の観点から動物実験が行えません。食品に含まれる成分の機能を解析するうえで代替実験法が求められています。私たちはその解決の一つとしてヒトiPS細胞由来オルガノイドを用いた研究法を開発しています。本研究法の最大の欠点は高額のランニングコストですが、これを1/100程度にまで軽減させる独自の培養法を開発しています。創薬研究と異なり、食品機能研究に高額な実験法は導入できませんが、この障壁を解決しました。農林水産物をヒトが口にして初めて「食品」となりますが、動物に投与する限りは「餌」です。食品機能を解析する食品科学研究では、直接的にヒトへの効果を検証する必要があります。この目的に合致した研究法がヒトiPS細胞由来オルガノイド研究と言えます。小腸オルガノイド、肝臓オルガノイドを用いた研究だけでなく、小腸オルガノイドより小腸上皮細胞を単層化し、ヒト小腸細胞における栄養素の吸収・透過を直接解析する評価系を構築して解析を進めています。食品機能のヒトへの直接的効果を検証したうえで、ヒト介入試験へと繋ぐことが可能となります。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 動物、細胞、食品、生活習慣病、健康、抗老化
キーワード2 : 健康寿命、機能性食品創製、