プロフィール

渡邊 勇歩

渡邊 勇歩

WATANABE Yuho

専攻 水圏生物科学専攻 Department of Aquatic Bioscience
研究室 魚病学研究室 Laboratory of Fish Diseases
職名 助教 / Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

魚介類養殖で発生する疾病を研究し、防除法の開発につなげる

 近年、世界中の魚介類養殖の現場では数多くの疾病が発生しており、養殖生産量の減耗要因の一つとなっています。すでに防除法が開発されている疾病もありますが、有効な防除法が開発されていない疾病も多く存在しており、今後も養殖産業に大きな被害を与えることが予想されます。この背景から、私たちの研究室では魚介類養殖で発生している疾病による被害を軽減すること、最終的には制圧することを目指し、研究に取り組んでいます。具体的には、病原体の生態解明、病原メカニズムの解明、病原体遺伝子機能解析などの基礎研究に加えて、そこで得られた知見を基にしたワクチン・治療薬の開発、生態的防除法の検討などの応用を視野に入れた研究も行っています。これまでの研究では、海産魚養殖場で問題となっている寄生虫病である海産白点病を対象として研究に取り組み、疾病の発生に関与する環境因子の特定、宿主への侵入・寄生関連分子の特定、完全な防除は困難ではありますが本虫に対する新規感染防御抗原の発見にも成功しています。今後も魚介類養殖で問題となっている疾病を軽減・制圧するために様々なアプローチから研究を実施し、防除法の開発につなげていきたいと考えています。

教育内容

主体性を持った研究活動を経験させ、卒業後のどんな状況でも対応できる人材の育成を目指す

 現在、学位論文のテーマとしては海産魚養殖場で発生する寄生虫病のひとつである海産白点病を対象に、原因寄生虫の寄生・摂餌メカニズムの解明、養殖場における白点病発生メカニズムの解明、新規抗海産白点病ワクチンの開発、有効な薬剤の探索、ゲノム解析などの研究を行っています。その一方、養殖場では海産白点病以外にも多くの病気が発生し、問題となっているため、今後は寄生虫病に限らず様々な魚介類の病気を対象に研究を行っていくことも予定しています。そのため、学位論文のテーマについては、みなさんのアイデア、興味をもとにディスカッションしながら設定していきたいと考えています。そして、その研究の中で、課題・問題点を発見し、研究方針・計画を考え、実験を行い、得られたデータを分析し、研究成果を発表するという研究の一連のプロセスを卒業までにすべての学生に経験させることを教育の目標としています。魚介類やその病原体、魚介類疾病の対策研究などに興味がある方は、是非私たちの研究室に見学に来てください。

共同研究や産学連携への展望

分野横断的共同研究から新たな魚介類疾病対策方法の社会実装を目指す

 農林水産省が養殖業の成長産業化に向け「養殖業成長産業化総合戦略」を策定したこともあり、今後の日本の養殖業はさらに発展していくことが期待されます。その一方、未だに有効な防除法が開発されていない魚介類の疾病も多く、魚病の問題は養殖業の発展とともに、今後ますます顕在化してくるものと予想されます。この状況を鑑み、私たちは魚介類養殖で問題となっている疾病、特にこれまで研究対象とした海産白点病のような、薬剤やワクチンなどの有効な対策がなく、養殖現場で問題となっている病気を中心に研究を行っていきたいと考えています。私たちの強みは病原体に注目した研究により得られた知見に基づいた対策研究にあり、これまでの研究から新規の感染防御抗原の発見にも成功しています。また、企業と連携して、薬剤の有効性評価を行い、新たな薬剤候補を発見した経験もあります。そのため、今後も学内外の他研究室や企業が持つ知識・技術と、私たちが持つ知識・技術を融合、分野横断的に研究を行い、これまでにない新たな防除法の開発に繋げていくことができればと考えています。共に手をとりあい、魚介類の病気と闘っていただける方は是非ご連絡ください。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  魚病、増養殖、原虫、寄生虫
キーワード2  :  魚介類疾病、持続的養殖生産