森林環境資源科学専修

広大で複雑な構造をもつ森林を扱う上で、収集された多様かつ膨大な情報を処理し、効果的に活用することは重要です。森林環境資源科学専修では、森林を三次元的に可視化するレーザー計測や鳥の鳴き声などを記録するロボットカメラ等の最新技術も取り入れ、衛星や航空機による遠隔探査、全国展開されるモニタリング調査などによって上空と地上から捉えられた森林の情報を解析したり、インターネットで発信したりする研究も行っています。関連の深い講義に森林計測学、森林リモートセンシング等があります。学生実習では、演習林における森林計測技術の実習や、プログラミング、地理情報システム(GIS)等の基礎的な演習を行っています。

生物・環境工学専修

生物・環境工学専修では、農業や環境に関わる「情報」を対象とした様々な研究が行われています。人工衛星画像を利用した温暖化や大気汚染などの地球環境モニタリング、植物の生理情報や3次元形態情報を利用した作物生育診断や生態系モニタリング、分光情報解析による作物鮮度評価手法の開発、遠隔監視カメラや地理情報システムを使った農作業効率化などが挙げられます。また、このベースとなる講義としては、プログラミングや空間解析(GIS)に関する「情報処理演習」や「測量・空間情報解析実習」に加え、環境観測や農業分野に関わる植物情報や地理情報の取得法とその利用法を学ぶ「生物環境情報工学」、「生体計測情報学」、衛星画像などの解析手法について学ぶ「リモートセンシング情報解析学」を開講しています。

農業・資源経済学専修

農業・資源経済学専修では、情報のもたらす社会的効果や意義について接近します。情報技術や情報それ自体が、食料や環境問題、あるいは地域経済にどのような影響を与えるかというテーマは、技術的な(ハードウェアの)問題以上に社会的かつ経済的な(ソフトウェアの)問題です。 世界の食糧需給における価格情報や気候情報の影響、情報通信技術(ICT)が農業生産に与える影響、食料生産やフードシステムにおける災害や疫病に対するリスクマネジメントといったテーマは、いずれも当専修が力を入れてきた分野です。また、開発途上国では、農業の生産技術や流通に関する知識や情報の格差が、農村の貧困問題における重要な要因となっています。

国際開発農学専修

国際開発農学専修では、様々な角度から国際協カや開発援助のあり方を学生自身に摸索してもらいたい。多様な開発問題を埋解するには、学生のうちに実践的な体験を積むことが重要です。そのため、当専修では農学部の全実習を体験してもらいます。耕地、森林、水圏、畜産に関する実習と国際的な感覚の農業を知る海外実習です。おそらく農学に関する実習を全て体験できる大学はどこにもないでしょう。演習や卒論指導などを通じて、農学部の各分野の教員が従来の学問領域の枠を越え、専修プログラムをサポートしていることも当専修の特徴です。農学を総合的に把握したい学生、将来国際協力や農業開発の分野で貢献したい学生にお勧めです。

応用生物学専修

農学・環境学では「情報」の果たす役割がますます重要になってきています。応用生物学専修では、多様で大量な生物関連情報から「知」を発掘し、それを食料問題や環境問題の解決に結びつけるための研究と教育が行われています。例えば、DNA配列・遺伝子発現・代謝産物などのオミクスデータを品種改良や栽培管理に利用することで、高効率な食料生産システムを構築できると期待されています。ドローンやセンサーを用いて、自然環境下における生体や環境を計測するシステムを構築することも重要な課題の一つです。本専修では講義・実験・実習を通して、情報科学や統計学について、農学・生命科学と強く結びつけた形で学ぶことができます。

生命化学・工学専修

生物という複雑な対象を理解するのに、実験データを蓄積し、それを解析することにより、そこに埋もれている情報を探し出して、新しい知識を得ることが必要です。情報の技術は、そのための重要な手段であり、今や、生命化学・工学の研究に欠かせないものとなっています。また、情報の技術は、生命現象をシミュレートして、生物の理解、応用に役立てる上でも重要です。生命化学・工学専修の研究室では、地道に物質を取り出し解析するという伝統的なアプローチに加えて、情報の技術を駆使し、細胞、個体レベルのデータをまとめて解析する方法論を取り入れています。

緑地環境学専修

近年の環境分野において、地理情報システムやリモートセンシングなど情報科学の進展は目覚ましいものがあります。緑地環境学専修では、緑地環境の保全に関わる環境情報科学の基礎的な理論と応用を学ぶためのカリキュラムを用意しています。とくにランドスケープエコロジーやランドスケープエコロジー実習では、環境情報を用いた緑地環境の分析・評価方法についての理解を深めるとともに、生物多様性・生態系サービスの保全、緑地環境のモニタリングや評価、緑地環境計画への環境情報の適用手法の習得を目指します。

水圏生物科学専修

水圏生物科学専修では、哺乳類から微生物にいたる多様な水圏生物の特性を把握し、それらの活用・管理・保全に資する研究を行っています。生物の特性はそのゲノム情報と環境要因によって決定されますが、最近の各種解析技術、特にDNAシーケンサの発展によって得られる各生物の塩基配列情報・多型情報、微生物のメタゲノム情報のデータ量は膨大になっています。水圏生物の個体の特性や集団の特徴を、これらの膨大な塩基配列情報や各種オーム解析情報、さらには環境要因と関連づけて、あるいは環境特性の要素として、その科学的理解を深めていくためには情報解析技術の活用が必須になります。本専修ではこれらの新たな生物学研究について学びます。

研究紹介 - 広報誌「弥生」から -

植物機能のリモートセンシング( 関連専修:生物・環境工学専修 )

弥生58号

生物・環境工学専攻 大政 謙次 教授
植物の形や構造は種によって異なりますが、環境によっても変化します。蒸散や光合成、成長等も環境で変化します。これらの 植物機能を離れた場所から、空間的に計測できれば、植物研究だけでなく、最先端農業や環境影響評価等にも役立ちます。 続きはこちら

「弥生」58号

インフォマティクスを駆使してタンパク質の機能を探る( 関連専修:生命化学・工学専修 )

弥生55号

応用生命工学専攻 清水 謙多郎 教授
生物という複雑な対象を研究するには、データを蓄積し、それを解析することで、新しい知識を得るという方法が重要 です。そのためには、インフォマティクス(情報学)は非常に大きな役割を担っています。 続きはこちら

「弥生」55号