農業・資源経済学専修

農業・資源経済学専修では、食料・農業・農村に関する経済や社会の問題の本質を解明し、豊かで持続可能な社会の構築に貢献する研究を行っています。農業は食料を安定的に供給し、地域社会の人々の生活を支えますが、関係する領域は、特定の地域・産業にとどまらず、国際的な広がりを持っています。例えば、開発途上国の農業は開発や貧困削減の鍵となりますが、同時に、貿易や海外直接投資を通じて先進国の農業、食品産業、消費生活などにも大きな影響を与えます。そのため、経済の複雑な仕組みを理解し、フィールドワークによって現実の問題を発見・認識することを重視し、地域レベルから地球レベルまでの幅広い視点で問題を考えています。

国際開発農学専修

国際開発農学専修では、様々な角度から国際協カや開発援助のあり方を学生自身に摸索してもらいたい。多様な開発問題を埋解するには、学生のうちに実践的な体験を積むことが重要です。そのため、当専修では農学部の全実習を体験してもらいます。耕地、森林、水圏、畜産に関する実習と国際的な感覚の農業を知る海外実習です。おそらく農学に関する実習を全て体験できる大学はどこにもないでしょう。演習や卒論指導などを通じて、農学部の各分野の教員が従来の学問領域の枠を越え、専修プログラムをサポートしていることも当専修の特徴です。農学を総合的に把握したい学生、将来国際協力や農業開発の分野で貢献したい学生にお勧めです。

緑地環境学専修

私たちの生存と豊かな暮らしを支える「みどり」は現在、地球温暖化や砂漠化など、地球規模の環境問題によって危機に瀕しています。一方、私たちの暮らす都市や農村では、人口減少や高齢化など社会構造の大転換に対応した、人と「みどり」の新たな関係が求められています。人間活動と自然環境の調和したみどり豊かな社会=自然共生社会を実現するためには、グローバル・ローカル両方からの視点と問題解決能力が必要です。緑地環境学専修では、こうした社会状況に対する的確な問題意識と総合的な思考能力を身につけるため、自然共生社会論、緑地計画学、都市農村計画学など社会科学的アプローチを重視したカリキュラムを用意しています。

森林環境資源科学専修

1992年のUNCED以来、森林の利用や管理は、経済・社会・生態のいずれの意味でも持続的であるべきであるという価値観を、すべての国が共有しています。これを実現するための方法として、法制度を中心として政策的接近と、森林認証制度のような半市場的接近があります。森林環境資源科学専修では、近代以前の森林利用の歴史も踏まえつつ、こうしたグローバルな動きについて学ぶ機会が豊富にあります。講義科目では、森林政策学、森林経理学、森林社会学、林業史、森林環境経済学、森林資源経済学等の中で、政策的接近や半市場的接近について学びます。森林政策学実習では、森林所有者の厳しい経営状況について学習しつつ政策のあり方を考えます。

生物・環境工学専修

生物・環境工学専修では、世界の食料や生物資源の安定的な供給を工学的な面から支える研究を海外のフィールドにおいて展開しています。例えば、モザンビークでは、現地で栽培可能なエネルギー作物ジャトロファの効率的な利用についての研究、タイでは灌漑システムの近代化に関する研究、中国では土壌の塩類集積に関する研究、モンゴルでは草地土壌の劣化に関する研究、コロンビアでは遠隔モニタリングシステムを用いた植物の生育情報の取得や利用に関する研究などが挙げられます。また、国際協力に関連する講義として、国際農業プロジェクト論を開講しています。

水圏生物科学専修

水圏生物は人類に多様な恩恵をもたらしてくれますが、野生生物としての水圏生物は元来、誰のものでもない無主物です。このため、完全に自由で無秩序な経済活動にその利用を委ねると、対象とする生物資源や生態系にダメージを与えかねません。水圏環境・生態系の健全性を確保しつつ水圏生物を持続的に有効利用し、活発な産業活動へと繋げるためには、対象生物や生態系に関する自然科学的知見に加えて、利用する側の社会制度、経済、国際情勢等の社会科学的側面を含めた総合的視点が必要です。水圏生物科学専修では課程専門科目の漁業学、水産資源学、水産増養殖学、水圏環境科学や、関連する農学総合科目、農学基礎科目でそれらの基礎を学びます。

研究紹介 - 広報誌「弥生」から -

地域農業をマネジメントする( 関連専修:農業・資源経済学専修 )

弥生51号

農業・資源経済学専攻 八木 洋憲 准教授
農業に対するイメージはどこから生まれるのでしょうか?農業経営学を研究していると、そのような先入観が間違っていることが大変多いことに驚かされます。 続きはこちら

「弥生」51号

インドネシアの伝統薬ジャムゥ( 関連専修:国際開発農学専修 )

弥生67号

農学国際専攻 荒木 徹也 准教授
インドネシアには、アーユルヴェーダに由来するジャムゥと呼ばれる伝統薬があります。漢方薬にも似たジャムゥが、インドネシアの農村地域でどう利用されているのかを注意深く観察すると、現代の日本の中山間地域にも当てはまる問題群が浮かび上がってきました。続きはこちら

「弥生」67号

バイオ燃料と食料価格高騰( 関連専修:国際開発農学専修 )

弥生47号

農学国際専攻 鈴木 宣弘 教授
バイオ燃料は食料危機の元凶か? それとも、地球温暖化抑制の切り札か? 穀物価格高騰は止まらないのか? 様々な要因は相互に関連しています。自然科学と社会科学の知見を結びつけた総合評価体系の構築が望まれます。 続きはこちら

「弥生」47号