プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
“さびない”カラダを食からつくる
私たちは、「食と健康」をテーマに、年齢とともに避けられない「健康の衰え」と、それを防ぐための「食べ物の力(機能性)」について研究を行っています。健康の衰えに関しては、最近注目されている「異常なタンパク質」、いわば体の中で起こる“さび”のようなものが、どのように体の不調や老化と関係しているのかを調べています。一方、食べ物が持つ健康を守る力についても研究を進めています。例えば、体の酸化を防ぐ抗酸化物質の新しい働きや、食べ物や環境の変化に応じて体の中で働く仕組みの調整などが研究対象です。これらの研究は、医学や環境科学など他分野と関わることも多く、幅広い視点から健康を考える「健康科学」という分野に貢献しています。今後もこの分野の魅力を広く伝えながら、新しい研究の道を切り開いていきたいと考えています。
教育内容
食のチカラでアンチエイジング
私たちの研究は、健康維持や病気予防に重要な役割を果たす「食と健康」の関係に焦点を当てています。特に、以下の三つの主要テーマに取り組んでいます。第一に、健康に関連した異常タンパク質(“さび”)の生成と病気との関連性に関する研究です。体内で生成される異常なタンパク質は、酸化や糖化などの過程を経て、細胞の機能を損ねる“さび”のように蓄積されます。この異常タンパク質の蓄積は、老化やアルツハイマー病、がんなど、さまざまな疾患と深く関係していることが分かっています。私たちは、異常タンパク質がどのように病気の発症や進行に関わるのかを明らかにし、それを予防する方法を探求しています。次に、抗酸化性食品成分の新しい機能性開拓についてです。抗酸化物質は、体内で発生する活性酸素を中和し、細胞の老化や病気を防ぐ重要な役割を果たします。近年、従来のビタミンCやEに加えて、新たな抗酸化物質が発見され、それらがどのように健康に寄与するかを研究しています。この研究は、抗酸化物質の新しい機能性を解明し、実際の食事やサプリメントに応用する可能性を開くものです。最後に、食品成分による免疫・炎症反応の調節の研究です。食品成分が免疫系や炎症反応をどのように調節するかを理解することは、慢性疾患や自己免疫疾患の予防・治療に大きな影響を与えます。特定の食品が免疫機能を強化したり、過剰な炎症反応を抑制したりするメカニズムを明らかにし、それを基にした新しい健康維持方法を開発しています。
共同研究や産学連携への展望
アンチエイジングを研究から製品へ
私たちは、アンチエイジングと機能性食品成分の研究を強みとし、企業や法人との共同研究を積極的に進めています。近年、健康維持や老化防止のニーズはますます高まり、食品業界をはじめ、医薬品や化粧品など、さまざまな分野での活用が期待されています。私たちは、この分野における最新の科学的知見を基に企業と連携し、新しい製品や技術の開発を目指しています。具体的には、アンチエイジングのメカニズムに関する研究を通じて体内の老化を引き起こす要因を解明し、その防止策を探ることが重要です。特に、体内で生成される異常タンパク質や活性酸素の抑制に焦点を当て、そのメカニズムを明らかにすることで、老化を遅らせる食品成分やサプリメントの開発が可能になります。これにより、企業が提供する製品の機能性を強化し、消費者に新しい価値を提供することができます。また、機能性食品成分の研究では、抗酸化物質や免疫調節成分の新しい機能性を探ることで、食品やサプリメントの品質向上に貢献します。特に、日々の食事から得られる栄養素がどのように健康維持に役立つかを科学的に証明することで、製品の信頼性や効果を消費者に伝えることができます。企業との共同研究においては、これらの新しい成分や技術を実際の製品に応用し、市場に革新的な製品を投入することを目指します。私たちの研究は、企業と共に新しい価値を創造するための強力な基盤を提供します。共同研究を通じて、最新の科学を活用した新たな製品開発や技術革新が進み、双方にとって大きな利益を生むことができると確信しています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
関連記事
食品成分であるピロロキノリンキノン(PQQ)が受容体GPR35を活性化する分子機構を解明
自己免疫疾患に関連したタンパク質翻訳後修飾異常の発見
キーワード
キーワード1 : 食品、健康、アンチエイジング、抗酸化物質、機能性成分、免疫、炎症反応、異常タンパク質、酸化脂質、糖化、活性酸素、ポリフェノール、自己免疫疾患
キーワード2 : 生活習慣病、老化、サプリメント、医薬品、化粧品