プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
人と動物の健康、環境の健全性を守るための感染症対策
寄生虫による感染症は過去の病気と思われる方も多いと思います。かつては、日本にも蔓延していたマラリヤや、リンパ系フィラリア症を制圧した歴史があるからではないでしょうか。しかし、世界では未だ実に多くの国と地域の人々が寄生虫感染症に苦しんでいます。世界保健機関(WHO)が制圧すべき「顧みられない熱帯病:Neglected Tropical Diseases(NTDs)」として指定している20の熱帯病のうち半分以上が寄生虫感染症です。NTDsは、特に開発途上の国々に居住する人々に重大な健康上の被害をもたらすとともに、これらの国の経済発展の大きな障壁となっています。
特に制圧が難しく厄介なのが、昆虫などの節足動物によって病原体が運ばれる節足動物媒介感染症です。WHOは2030年までのグローバル目標として、2016年を基準年とし、節足動物媒介感染症NTDsによる死亡者数を75%削減させることを掲げています。
私たちの研究室では、NTDsの一つであるリーシュマニア症を主な対象として、「人と動物と環境のつながり」を重視し、人と動物の新規診断法・治療法の開発、媒介昆虫の制御法の開発等、感染症の広がりを防ぐため様々な角度から研究を行っています。
教育内容
ラボからフィールド、フィールドからラボへ
応用動物科学専攻では、哺乳類を中心に動物の複雑かつ多様な生命現象の謎・メカニズムを解き明かし、獣医学、医学、薬学、理学分野への応用を可能とする研究教育を推進しています。応用免疫学研究室では、専攻の基本姿勢に基づき、寄生虫感染症の理解・対策のため様々な側面からの研究教育を行っています。当研究室で主な対象としているリーシュマニア症の伝播サイクルには、人、媒介昆虫、病原体を持つ動物と多様な生物因子が関わっています。また社会的背景の理解も感染症制御には重要です。病原体である寄生虫の解析、感染動物の解析のみならず、これら感染症の伝播がどのように起きているか、制御のためにはどのような問題解決が必要か、感染症が流行している現場での疫学調査を基本姿勢として多角的視野からの対策法を探索しています。「免疫学」「寄生虫学」など基本的な学術の基盤を豊かなものとし、課題解決のための創造性を生み出す源をつくる教育を目指しています。
共同研究や産学連携への展望
感染症対策の包括的コントロールを科学と社会の力で
節足動物媒介性感染症や人獣共通感染症に対する包括的な対策を、科学的な知見と社会との連携によって実現することを目指しています。現在は、共通の目的を有する国内外の各分野の研究者、医師、感染症流行国政府と連携・協働し、以下の研究課題に取り組んでいます。
・トルコにおける顧みられない熱帯病、
特に節足動物媒介性感染症制御に向けたワンヘルス的展開
・サシチョウバエにおける共生細菌リケッチアの実態解明とウイルス制御の検証
・獣医学と生態学の連携でとりくむ人獣共通感染症対策のための生態系アプローチ
・トキソプラズマ症スピルオーバープロセスの解明と生態系アプローチによる対策の実践
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
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キーワード
キーワード1 : 寄生虫、動物、節足動物、媒介昆虫、免疫、感染症
キーワード2 : 節足動物媒介感染症、人獣共通感染症、顧みられない熱帯病、国際協力