森を守り、育てる―保全と生産の調和を目指す統合的森林管理
ポイント
◆東京大学北海道演習林が60年以上にわたり実践してきた、自然の仕組みを生かした統合的森林管理の取り組みを紹介
◆森林管理・施業の考え方と基本的技術をわかりやすく解説
◆本書はオープンアクセスとして公開され、どなたでも自由に閲覧・利用可能
概要
本研究科附属演習林北海道演習林(以下、北海道演習林)で長年にわたり進められてきた森づくりと木材生産の取り組みを紹介する書籍が、国際的な出版社Springer社から刊行されました。
北海道演習林では、木材生産と生態系の保全を両立させることを目指し、自然の力を生かした森林管理を60年以上にわたり発展させてきました。本書では、その中心となる天然林の管理手法「林分施業法(Stand-based Silvicultural Management System)」を軸に、北方森林生態系の特徴や森林管理の歴史、台風や虫害などの自然撹乱への対応、さらに近年進められているデジタル技術の導入(DX)までを幅広く紹介しています。
林分施業法の解説では、6つの基本原則を示すとともに、伐採木を1本ずつ選ぶ「選木」、天然更新を補助する作業、高品質な苗木生産など、具体的な技術とその意義をわかりやすく説明しています。これらの取り組みが、天然林の保全や優良木の育成、針広混交林の形成、生産性の維持に果たす役割を丁寧に解説しています。
さらに本書では、北海道演習林に生息する多様な生物とその保全活動、炭素貯留や水資源の供給、文化的価値といった森林の多面的機能(生態系サービス)にも焦点を当てています。
本書は、森林や林業の研究者だけでなく、現場の技術者、行政担当者、そして持続可能な森林管理に関心をもつすべての人々にとって有益な一冊です。北海道演習林で培われた経験と知見を世界に共有し、保全と生産の調和を実現する未来の森づくりを展望する内容となっています。
編者
尾張敏章(東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林 教授)
鈴木智之(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター中川研究林 准教授)
田中延亮(東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林 講師)
福井 大(東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所 講師)
発表書籍
書籍名:Integrative Forest Management and Silviculture: Harmonizing Conservation and Production
編者:Toshiaki Owari, Satoshi N. Suzuki, Nobuaki Tanaka, Dai Fukui
出版社:Springer
ISBN:978-981-95-1017-7
eBook: https://doi.org/10.1007/978-981-95-1017-7
研究助成
本書は、東京大学基金「北海道演習林創設125周年記念支援基金」を中心とした寄付金の援助を受けて出版されました。
問い合わせ先
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
Tel: 0167-42-2111
E-mail: hokuen <アット> uf.a.u-tokyo.ac.jp
<アット>を@に変えてください。


