プロフィール

齋藤 継之

齋藤 継之

SAITO Tsuguyuki

専攻 生物材料科学専攻 Department of Biomaterial Sciences
研究室 製紙科学研究室 Laboratory of pulp and paper science
職名 教授 / Professor

一般の方へ向けた研究紹介

植物由来の新素材「セルロースナノファイバー」の真価を追究する

 樹木の細胞壁セルロースをナノ分解すると、機械的及び熱的な特性に優れたセルロースナノファイバー(CNF)と呼ばれる新素材が得られます。当研究室では、CNFの構造理解を深め、CNFを要素とする材料の高次な階層構造を精密制御する技術体系の確立を目指し、「ナノ分解」・「配列」・「再会合」という、連続する3つの研究領域を設けています。
 「ナノ分解」領域では、これまで未解析であったCNF1本の欠陥構造を解析します。欠陥を誘引する構造的起源/プロセス因子を特定し、欠陥フリーCNF生産法の提案へと繋げます。「配列」領域では、CNF分散体におけるCNFの配列を自在制御する技術を確立し、CNF単独からなる会合体あるいは樹脂等との複合体の形成へと繋げます。「再会合」領域では、CNF会合体中におけるCNF間結合の制御、あるいはCNF複合体中における樹脂との界面構造の制御により、これら高次な構造体の物性を最大化します。
 これまで応用研究が主であったCNF研究の学術水準を新たな段階へと高め、現状限定的なCNFの実用化を後押しします。

教育内容

基本が大切、親身に教育

 学部では、専門分野の基礎的な知識を蓄えることが最も大切と考えています。従って、講義においては、セルロースの構造・物性・反応性について基礎を徹底し、セルロースの産業資材である紙パルプの製造と品種を体系的に伝え、さらに抄紙プロセスの概要とウェットエンド化学を理解してもらうことを目標としています。卒業論文では、セルロース及び紙パルプの基本的な扱いを習得し、データの考え方やまとめ方について基本を学びます。
 大学院の修士課程では、研究における課題解決力を養うため、高度な専門知識と技術を修得する必要があります。従って、講義においては、セルロースナノファイバー(CNF)の製造とアカデミアにおける先端研究の事例、さらに実用化の現状を紹介し、産業課題の周知に努めています。修士論文の研究は、教員が課題設定し、学生が主体的に解決することを基本としています。博士課程では、課題設定の力を養成し、かつ査読付きの原著論文をまとめる必要があります。ここで期待する課題設定とは、学生が0から真新しい課題を発想するのではなく、学生が関わってきた研究の延長にある発展や探究の契機を得ることだと考えています。その契機を得られるよう、学生とよく議論を交わし、研究に対する学生の理解を深めようと努めています。

共同研究や産学連携への展望

CNFの構造解析と透明断熱材

セルロースナノファイバー(CNF)の研究に取り組んでいます。特に注力するのは、CNF1本の構造解析と、CNFからなる「透明断熱材」の形成です。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  植物、細胞壁、セルロースナノファイバー、断熱材、透明、高強度
キーワード2  :  温暖化、低炭素、循環型社会、バイオマス、枯渇性資源、プラスチック