教育者としての私のモットーは、難解なことも、できるだけ平易な言葉で説明して、理解することの楽しみを味わってもらう、です。学部3・4年生向けの講義(食品生物構造学)では、構造生物学(タンパク質分子の立体構造の調べ方。NMR溶液構造解析法、X線結晶構造解析法、クライオ電子顕微鏡法)の基礎を丁寧に説明し、教科書を読んで独学できるだけの学力をつけることを目標にしています。
研究室内では、Molecular Biology of The Cellの輪読会を開いています。生命の謎解きがわかりやすい絵と文で解説してあります。
大学院講義(食品物理化学)では、学内外の専門家を講師として招いて、受講している大学院生の皆さんに、様々な観点からの研究の進め方や考え方に触れてもらおうと思っています。研究の興味深さや考え方の多様性を知り、自分自身の研究構築に役立ててもらうためです。
農学生命科学研究科・農学部の教育・研究機関として良いところは、丁寧な基礎教育の充実と実験科学の実践だと思います。実験をしていると、失敗したり、予想外の結果が得られたりと、いろんなことを経験しながら、少しずつ真実に近づいてく楽しみを味わうことができます。私が尊敬している方が「私は農学部出身ですから実験量で勝負です。自分は頭が良いと思っている人は簡単に諦めすぎですよ。」とおっしゃったのが強く印象に残っています。私も、やると決めたら、諦めずにやりぬこうと思っています。
研究室の卒業生は、食品・化学・製薬等の企業に就職したり、国内外の大学や研究機関で教員・研究員として活躍しています。