プロフィール

小林 幸司

小林 幸司

KOBAYASHI Koji

専攻 食と動物のシステム学 Food and Animal Systemics
研究室 食と動物のシステム学研究室 Laboratory of Food and Animal Systemics
職名 特任講師 / Project Lecturer

一般の方へ向けた研究紹介

人工知能で動物の心を読む

 動物にもヒトと同じような感情があります。家で飼っているイヌやネコの喜怒哀楽がなんとなくわかるという人は多いのではないでしょうか。しかし、マウスのような小さい実験動物の感情を評価するのは非常に難しい問題です。現在、脳の機能を解明する基礎研究から新薬を開発するための応用研究まで様々な分野において、実験動物の感情評価が行われています。しかし、現在の方法の多くはヒトが動物の行動を観察してスコアを付けるというものであり、観察する人の主観がどうしても入ってしまいます。私は、人工知能の手法を使って、ヒトの主観を排除した客観的な動物行動の評価法を開発しています。この研究を進めて動物の感情を正確に評価できるようになれば、動物とヒトの関係をよりよいものにできるのではないかと期待しています。
 そのほかにも、がんの中でどのような免疫反応が働いているのか、食べ物が我々の健康にどのような影響を与えるのかについての研究も行っています。

教育内容

機械学習と動物行動解析を融合させる

 近年、コンピューター科学の発達に伴って、ビッグデータと呼ばれる非常に大きなデータを効率よく処理し、解析することができるようになりました。生物学の分野でも、多数の遺伝子やタンパク質を同時に測定し、得られた膨大な量のデータを解析して仮説を検証することが一般的に行われています。つまり、ピペットを握り細胞を培養したり、実験動物に処置をして観察したりする従来の手法に加えて、数理科学やコンピューター科学の手法を習得することの重要性が日々増しています。私は、機械学習 (人工知能) の手法を用いて、実験動物の行動を記録した動画から動物の行動を自動的に解析する研究を行っています。まだまだ新しい分野で手探りな状態ですが、皆さんも一緒に”プログラムが書ける生物学者”を目指してみませんか?

共同研究や産学連携への展望

機械学習で客観的な動物行動の評価系を作る

 動物の行動観察は、動物の状態を知るための最も基本的な方法であるため、基礎・応用研究を問わず様々な分野で行われています。しかし、現在の行動観察の手法はヒトの観察に依存しており、客観性や再現性が低くスループット性に乏しいという欠点があります。私は、ニューラルネットワークなどの機械学習の手法を用いることで、自動的、客観的でスループット性の高い動物行動解析法を開発しています。以前には、ハンディカメラで撮影した映像からマウスのひっかき行動やグルーミング行動を精度よく判別する方法を発表しました (Scientific Reports 2021、 Frontiers in Behavioral Neuroscience 2022)。今後は探索行動や飲水・摂餌などほかの行動の解析や、開発した手法を使った病態モデルの解析・新規表現型の探索を行っていく予定です。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  動物行動、機械学習、人工知能、ニューラルネットワーク、マウス、ラット
キーワード2  :  動物実験、3R