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東京大学

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部

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研究成果 一覧

皮膚からの抗原暴露がアレルギー発症につながるメカニズムを解明 ――食物アレルギーの予防法開発に新展開――

発表のポイント

  • 食物アレルギーの原因となるIgE抗体が、皮膚に抗原が侵入した際に産生されるPGD₂によって誘導される仕組みを明らかにした。
  • 皮膚からの抗原暴露がアレルギーの発症を促進するメカニズムを世界で初めて明らかにした。
  • PGD2シグナルの阻害薬を皮膚に処置することによりアレルギー発症を予防できる可能性も示され、今後の新たな治療・予防法の開発につながることが期待される。


皮膚からの抗原侵入がIgE産生を促進し、食物アレルギーの発症につながるメカニズム

概要

 東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授らの研究グループは、皮膚において産生されるプロスタグランジンD₂(PGD₂、注1)と呼ばれる物質が、免疫細胞のCRTH2(注2)受容体を刺激して、アレルギーを発症するIgE抗体の産生(感作)を促進する仕組みを明らかにしました。マウスを用いた実験により、皮膚に卵の抗原を暴露するとPGD₂の産生が増加してIgE抗体が作られ、食物アレルギーの症状が出ました。PGD2の受容体であるCRTH2の遺伝子欠損や阻害剤の皮膚への処置は、これらを抑えることも分かりました。
 本研究は、食物アレルギーの新たな予防・治療法の開発に貢献する重要な成果であり、乳児期に皮膚炎を持つ子どもなど、アレルギーリスクの高い集団への早期介入の有効性を示唆しています。

発表内容

 近年、アトピー性皮膚炎のある乳児が食物アレルギーを発症しやすいことが疫学的に示され、皮膚からの抗原暴露がIgE抗体産生(感作)を促進する可能性が注目されています。しかし、その分子メカニズムは不明でした。
 本研究では、食物アレルギーモデルマウスを用い、皮膚に卵白アルブミン(OVA)を投与すると、皮膚局所でプロスタグランジンD₂(PGD₂)が増加し、同時にIgE抗体の産生も増加することが確認されました。免疫染色や質量分析により、皮膚やリンパ節の抗原提示細胞がPGD₂を産生していることも証明されました(図1左)。
 さらに、PGD₂の受容体であるCRTH2を欠損させたマウスではIgEの産生とアレルギー症状が有意に低下しました。一方、CRTH2を活性化する薬を投与すると、IgE産生が促進されました。CRTH2シグナルが抗原提示細胞の活性化を促し、IgE産生を誘導していることが示唆されます。
 加えて、CRTH2阻害薬の皮膚投与によりIgEの産生とアレルギー症状の抑制が確認され、本経路の薬理学的な介入が有効であることも明らかになりました(図1右)。このように、PGD₂とCRTH2による皮膚感作のメカニズムを明らかにした本研究は、乳幼児やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアが弱い、もしくはバリアが破綻して、抗原が入りやすくなった状態に対する新たなアレルギー予防法の開発に寄与することが期待されます。
 本研究グループはこれまでに、尿に排泄されるPGD2などの代謝物が皮膚炎や食物アレルギーのバイオマーカーとなることを明らかにしています(関連情報)。これらのバイオマーカーを見ながら、皮膚を守り、アレルギーを予防・管理できるシステムの構築を目指しています。

図1:(左)皮膚のMHCⅡ陽性抗原提示細胞にPGD2の合成酵素が発現している。
(右)CRTH2の阻害剤を皮膚に処置すると食物アレルギーの症状が抑制される。掲載論文の図を改変。

〇関連情報:

1「尿中の脂質でアレルギー疾患を診断する」(2024/5/21)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00283.html

2「食物アレルギーの尿中バイオマーカーであるtetranor-PGDMを認識する モノクローナル抗体とそれを用いた酵素免疫測定法の開発」(2021/4/30)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20210430-2.html

3「アトピー性皮膚炎の尿中バイオマーカーの発見」(2021/10/1)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20211001-1.html

4「東京大学大学院農学生命科学研究科・放射線動物科学研究室ホームページ」
https://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/houshasen/index.html

発表者・研究者等情報

東京大学 大学院農学生命科学研究科
村田 幸久 准教授
木田 美聖 研究当時:博士課程
 現:東京大学 大学院農学生命科学研究科 農学共同研究員
中村 達朗 研究当時:特任講師
 現:酪農学園大学 准教授
前田 真吾 研究当時:特任助教
 現:東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授
永田 奈々恵 特任講師

徳島大学 大学院社会産業理工学研究部 
榎元 廣文 教授

論文情報

雑誌名:Allergy
題 名:Skin-derived PGD₂ promotes antigen-specific IgE production via CRTH2 signaling
著者名:Misato Kida, Tatsuro Nakamura, Hirofumi Enomoto, Shingo Maeda, Nanae Nagata, *Takahisa Murata
DOI: 10.1111/all.16635
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.16635

研究助成

 本研究は、科研費「基盤研究(課題番号:20H05678)」、「基盤研究(課題番号:25H00430)」、JST 「研究成果展開事業(JPMJTR22UF)」の支援により実施されました。

用語解説

(注1)プロスタグランジンD₂(PGD₂):細胞膜のリン脂質から切り出されたアラキドン酸から産生される生理活性をもつ脂質メディエーターで、炎症やアレルギー応答に関与する。
(注2)CRTH2:Th2細胞や好酸球、抗原提示細胞などに発現するPGD₂の受容体。

問合せ先

(研究内容については発表者にお問合せください)
東京大学 大学院農学生命科学研究科
獣医薬理学研究室/放射線動物科学研究室/食と動物のシステム科学研究室
准教授 村田 幸久(むらた たかひさ)
Tel:03-5841-7247 E-mail:amurata[at]mail.ecc.u-tokyo.ac.jp

東京大学 大学院農学生命科学研究科・農学部 総務課総務チーム広報情報担当
Tel:03-5841-8179 E-mail:koho.a[at]gs.mail.u-tokyo.ac.jp

[at] は @ に変換してください。

関連教員

村田 幸久
前田 真吾

妊娠につながるマウスの精子形成ステージを自動判定するAI開発に成功――不妊症の原因となる精子形成の質の評価に貢献――

 慶應義塾大学理工学部生命情報学科の徳岡雄大研究員と森倉峻特任助教、舟橋啓教授、東京医科歯科大学(現、東京科学大学)実験動物センターの遠藤墾助教(現、東京大学大学院農学生命科学研究科助教)、大阪大学微生物病研究所の平舘裕希特任助教(当時)と伊川正人教授らのグループは、深層学習を用いて、組織染色されたマウス精細管の明視野顕微鏡画像から12段階の精細管ステージを高精度に同定するアルゴリズムの開発に成功しました。
さらにステージ予測の分類精度は、±1ステージの予測誤差を許容した場合98.33%と非常に高い性能を示すことを明らかにしました。本手法は、精細管ステージを自動的かつ定量的に評価する新たな基盤技術として、生殖補助医療や不妊治療分野に貢献することが期待されます。
 本研究成果は学術雑誌Scientific Reports誌Webサイトにてオンライン速報版が7月1日(英国時間)に公開されました。

本研究のポイント

◆マウス精細管を組織染色した明視野顕微鏡画像と深層学習を用いて、マウス精巣管の精子形成過程を非常に高い精度で自動的に評価することに成功した。
◆深層学習モデルは、精子形成に関する生物学的情報を一切学習していないにもかかわらず、生物学的に妥当な判断根拠に基づき精細管のステージを予測できていることを明らかにした。
◆現在、精細管ステージは熟練者が目視で評価しているが、今後は正常な精子形成の判断基準を自動的かつ客観的に行うことができるため、生殖補助医療や不妊治療分野への貢献が期待される。

研究背景

 不妊症は世界的な社会問題であり、適齢期カップルの8~12%が罹患しています。症例の半数は男性要因に起因し、その大部分は精子形成障害が要因だと考えられています。異常な精子形成に関与する主要な遺伝子や環境因子の一部は同定されていますが、正常な精子形成を支配する調節メカニズムは、いまだ完全に解明されていません。
これまで、Hematoxylin-PAS染色※1によって組織学的に染色された精細管(造精組織)の明視野顕微鏡画像を用いて、精子形成過程(精細管ステージ)を目視で12段階に分類することで、精子形成のメカニズムの解明を試みてきました。一方で、ステージの正確な識別には研究者の高度な熟練を要し、人的労力や時間コストが高いため、研究者の熟練度に依存せず、客観的かつ自動的にステージを識別する手法が求められてきました。
 近年、深層学習を活用して組織染色された画像の分析を自動化することで、人的労力と時間コストの高さ、および客観性の低さといった課題を克服することを目指した研究報告が相次いでいます。しかし、マウスの精細管には異なるステージの特徴が混在している場合があり、これらの特徴の多様さが精細管ステージを高精度に分類する深層学習モデルの構築を阻んでいました。そこで本研究では、画像データの幅広い特徴を学習させるアルゴリズムによって、深層学習アルゴリズムのひとつである、畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional Neural Network, CNN)モデルを訓練することで、マウスの精子形成ステージを高精度に自動予測するフレームワークの構築を目指しました。

研究内容・成果

 本研究ではまず、Hematoxylin-PAS染色された精細管の明視野顕微鏡画像1,229枚(RGB画像)に対して、それぞれ12段階の精子形成ステージを熟練者によってラベル付けした新たなデータセットを構築しました。ステージ予測を行う深層学習アルゴリズムとして、CNNを応用した残差ネットワーク(Residual Network, ResNet)や、残差ネットワークを改良したWide-ResNetやResNeXt、MobileNet等を採用し、それぞれのモデルに対してステージの分類問題を学習させました(図1a)。学習時には、精細管画像に含まれる多様な特徴をモデルに幅広く学習させるために、12段階すべてのステージが必ず学習データに含まれるように制約するミニバッチサンプリング法※2を導入し、さらに学習用画像をランダムにクロップまたは回転させるデータ拡張法※3も併用しました。
 その結果、本研究で構築したすべてモデルにおいて、Balanced Accuracy※4が70%を超える高精度な分類性能を示し、予測されたステージと正しいステージの誤差のほとんどは±1の範囲内であることが分かりました。そこで、予測誤差の許容幅を±1に設定して分類精度を評価したところ、ResNetを用いた深層学習モデルの予測精度は98.33%という非常に高い精度を達成していることを明らかにしました(図1b)。

 また非常に興味深いことに、研究グループが開発した深層学習モデルは、精子形成に関する生物学的情報を一切学習していないにもかかわらず、熟練者が生物学的に注目する組織構造と同様の構造に着目しながらステージを予測していることが明らかになりました(図1c)。さらに、精子形成のステージが周期的に遷移する生物学的パターンを学習していることが明らかになりました(図1d)。これらの結果から、本研究で構築した深層学習モデルは、生物学的に妥当な判断根拠を基に精子形成ステージを予測することで、極めて高い分類精度を達成したものと考えられます。

今後の展開

 複雑な精子形成メカニズムの理解に向けて、精細管の高精度なステージ分類を客観的かつ自動的に行うフレームワークを構築することは極めて重要な課題でした。本研究で開発した深層学習モデルは、生物学的に妥当な判断根拠に基づいて高精度にステージを予測できるだけでなく、研究者の熟練度に依存せずに精子形成ステージを評価する客観的な基準を与えるため、生殖分野の基盤となる非常に有用なツールとなる可能性があります。
 本研究では、精細管画像を精巣組織の組織切片画像から手動で抽出し、染色日の違いによる染色ムラが比較的少ない画像データを対象としました。将来的に、男性要因の不妊症に関する診断や治療への臨床応用を見据え、精子形成評価のステップを完全に自動化する方法や、染色ムラに対しても頑健な深層学習モデルの構築が極めて重要です。現在、研究グループでは、本研究で得た知見を活用し、精細管画像の抽出ステップを完全に自動化するとともに、染色ムラが発生した精細管画像も高精度にステージ分類可能な深層学習モデルの構築を進めています。これにより、迅速かつ網羅的な精子形成評価を可能にする新たなフレームワークを構築し、今後、精子形成評価の自動化によって、生殖補助医療や不妊治療分野の発展に貢献することが期待されます。
※本研究はJST CREST(JPMJCR21N1)の助成や支援を受けて行われました。

論文情報

タイトル:Deep-learning–based automated prediction of mouse seminiferous tubule stage by using bright-field microscopy
タイトル和訳:深層学習に基づく明視野顕微鏡を用いたマウス精細管段階の自動予測
著者:徳岡 雄大1,#、遠藤 墾2,3, #、森倉 峻1、平舘 裕希4、伊川 正人4,*、舟橋 啓1,*1慶應義塾大学 2東京大学 3東京医科歯科大学 4大阪大学微生物病研究所
   #共同筆頭著者 *共同責任著者
掲載誌:Scientific Reports
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-025-06727-x

用語説明

※1 Hematoxylin-PAS染色
 精細管の組織構造を可視化するための一般的な組織染色方法。ヘマトキシリンと過ヨウ素酸-シッフを用いて、精細管の構成する細胞と構造物を染め分ける。
※2 ミニバッチサンプリング法
 深層学習モデルを学習させる際に、学習データを一度に全て用いてモデルを学習させるのではなく、いくつかのデータを抽出してモデルを逐次的に学習させるミニバッチ学習において、データの抽出方法を工夫する手法。
※3 データ拡張法
 深層学習モデルに多様な特徴を学習させるために、学習データに対して回転や反転など様々な変換処理を施すことで、見かけ上、モデルにとって新たなデータを学習させる手法。
※4 Balanced Accuracy
 各クラスに属するサンプル数を用いて、それぞれのクラスにおける予測の正答率を正規化することで、クラスごとのサンプル数の不均一さに依存しない正答率を評価するための指標。

研究内容についてのお問い合わせ先

東京大学 大学院農学生命科学研究科 助教 遠藤 墾(えんどう つとむ)
TEL:03-5841-3088  FAX:03-5841-5621 E-mail: atendo@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

教員カタログ

遠藤 墾

飢餓状態の酵母でリボソームが選択的に分解される新経路を発見  ――飢餓適応のメカニズムと分解酵素の多機能性が明らかに――

発表のポイント

◆飢餓状態の酵母において、リボソームが選択的に分解されることを明らかにしました。
◆分解対象リボソームを認識する受容体を同定し、この因子を介した新規分解経路を示しました。
◆本研究は、酵母におけるRNA代謝およびストレス応答機構に関する更なる理解に貢献します。

出芽酵母における新規選択的リボソーム分解経路

概要

 出芽酵母(注1)が窒素飢餓に陥ると、細胞内の余剰リボソーム(注2)が分解されます。しかし、この分解が選択的・非選択的のいずれであるか、議論の余地がありました。東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻の共同研究グループは、このリボソーム分解が主に「選択的」であることを明らかにしました。また、分解対象リボソームに結合する受容体を明らかにし、リボヌクレアーゼRNase T2(注3)と協働した、新規のリボソーム分解機構を提唱しました。RNase T2は、出芽酵母を含めた幅広い生物に存在し、それぞれの生物種ごとに異なる、多彩な役割を担います。本研究では、RNase T2の「多機能性」を生み出す原動力の一端が、各RNase T2のC末端にある固有な領域にあることも示しました。本研究は、飢餓に応答した酵母リボソーム分解の新たなメカニズムを示すと共に、RNase T2の多様な機能性発揮の理解に迫るものです。
 本研究成果は米国生化学・分子生物学会が発行するJournal of Biological Chemistryの2025年6月号に掲載されました。

発表内容

 細胞は膨大な量のタンパク質から構成されています。そしてリボソームは、これらタンパク質を合成する、いわば「工場」としての働きをします。タンパク質の合成には多大なエネルギーを必要とします。そのため、細胞は外界を常に監視し、環境状態とタンパク質合成とを調和させます。例えば、栄養が豊富な環境下では、細胞は細胞内のリボソーム量を増やし、これを利用してたくさんのタンパク質を合成し、活発に細胞を増殖させます。一方で、栄養が乏しくなると、細胞は新たにリボソームを作ることを止め、さらにタンパク質合成を停止させます。 そして、細胞内の余剰リボソームは「オートファジー」と呼ばれる機構により分解されることが報告されています。
 「オートファジー」(注4)とは、細胞内の不要物を分解し、そのパーツを再利用する作用(自食作用)です。オートファジーは、細胞質の因子を区別なく分解する「非選択的経路」と、特定のものに限定して分解する「選択的経路」とに分けられます。これまで、窒素源飢餓に応答したリボソームの分解は、非選択的・選択的の2つの説があり、意見が分かれておりました。
 オートファジーにより液胞(注5)に運ばれたリボソームのうち、リボソームRNA(rRNA)は、リボヌクレアーゼRNase T2により分解されます。RNase T2は、幅広い生物に存在するリボヌクレアーゼであり、出芽酵母ではRny1pと呼ばれます。本研究は、このRny1pの機能解析を目的として進めていましたが、その過程で、酵母におけるこのリボソーム分解が主に「選択的」であることを見出しました。また、Rsa1pとよばれる因子が、分解対象リボソームを認識する「受容体」として機能することを示しました(図1)。Rsa1pはリボソーム大サブユニットの組み立てに関わる因子ですが、本研究では、このRsa1pが、逆にリボソームの分解にも関わることを示しました。
 Rny1pは高温や浸透圧ストレス、飢餓条件における生育に必要です。Rny1pの遺伝子を欠損した細胞に対して窒素源飢餓を誘導すると、非選択的オートファジーの活性が低下しました。これは、液胞での未分解rRNAの蓄積により、他因子の液胞内分解が阻害されるためと考えられ、ストレス適応にRny1pが必要であることの一端を示すものです。
 Rny1pは、ストレス条件下では液胞に局在しますが、栄養条件下では、細胞外に分泌され、細胞壁に結合します。一方、Rny1pのC末端には特徴的な領域が存在しますが、その役割は不明でした。本研究において、このC末端領域を介して、Rny1pが細胞壁に結合することが示されました。さらに、タンパク質の立体構造予測AIであるAlphaFold2(注6)を用いてRny1pの立体構造を予測し、このC末端構造に類似する既知の構造を探索したところ、糖結合タンパク質が複数見つかりました。ここから、Rny1pはC末端領域を用いて細胞壁の糖鎖に結合することが示唆されました。RNase T2は、さまざまな生物種において多様かつ重要な生命現象にかかわります。そこで、各生物種RNase T2のC末端アミノ酸配列を比較したところ、配列の多様性が見出され、AlphaFold2による構造予測から、それぞれの機能に見合った、固有の構造を取ることが示唆されました(図2)。すなわち、このC末端の多様性が、RNase T2が多岐にわたる役割を果たし得る原因のひとつと考えられます。
 ストレス下において、リボソームは、ストレスに応答する因子を翻訳する必要があります。そうした時、全てのリボソームを区別なく分解することは、ストレス応答の面からは非効率です。その意味で、リボソームを選択的に分解することは合理的であると考えられます。本研究は、細胞のストレス応答に対して新たな視点を提供するものです。また、リボソームの機能不全は「リボソーム病」と呼ばれる疾病の原因ともなります。本研究で示した分解対象リボソームの選択性についてさらに研究を深めることで、「リボソーム病」に対する理解、および対処法の考案に結びつくことが期待されます。

図1:Rsa1pの遺伝子欠損株では窒素源飢餓によるrRNA分解が抑制される

野生株、Rsa1p遺伝子欠損株(rsa1∆)、およびRny1p遺伝子欠損株(rny1∆)に対して窒素源飢餓を誘導した後、細胞内の未分解rRNAを定量した。
rsa1∆株内では、rny1∆株と同等に未分解rRNAがみられた(棒グラフ上の文字が異なる場合、値が有意に異なることを示す)。


図2:RNase T2のC末端領域は多様性を示す

(A)Rny1pの構造を模式的に示した。Rny1pには特徴的なC末端伸長領域が存在する。(B)Rny1pの立体構造を、AlphaFold2を用いて予測した。
このC末端伸長領域は、RNaseドメインと独立しており、立体構造比較から、糖鎖結合タンパク質と高い構造類似性がみられる。
(C)豚熱ウイルス(classical swine fever (CSF) virus)にも、C末端伸長領域をもつRNase T2が存在する。この立体構造を、(B)と同様に予測したところ、
Rny1pとはまったく異なる予測構造が得られた。
RNase T2のC末端構造多様性により、RNase T2が各生物種に固有の多岐にわたる役割を発揮することが示唆された。

発表者・研究者等情報

東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻
南 篤 博士課程(当時)
 現:早稲田大学理工学術院 次席研究員(研究院講師)
西 晃平 修士課程(当時)
山田 陸翠 修士課程(当時)
陣内 凱 修士課程(当時)
島 日佳理 修士課程(当時)
大石 早希子 修士課程(当時)
赤川 博文 修士課程(当時)
青野 俊裕 講師(当時)
 現:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 研究員
日髙 真誠 准教授(当時)
正木 春彦 教授(当時)
 現:東京大学名誉教授
葛山 智久 教授
野田 陽一 特任准教授
小川 哲弘 助教

論文情報

雑誌名:Journal of Biological Chemistry
題 名:The ribonuclease RNase T2 mediates selective autophagy of ribosomes induced by starvation in Saccharomyces cerevisiae
著者名:Atsushi Minami†, Kohei Nishi†, Rikusui Yamada†, Gai Jinnai, Hikari Shima, Sakiko Oishi, Hirofumi Akagawa, Toshihiro Aono, Makoto Hidaka, Haruhiko Masaki, Tomohisa Kuzuyama, Yoichi Noda, Tetsuhiro Ogawa*(†: 同等貢献者、*: 責任著者)
DOI: 10.1016/j.jbc.2025.108554
URL: https://doi.org/10.1016/j.jbc.2025.108554

研究助成

 本研究は、科研費「25450093、16K07657、20K21266、21K18229、23H02122」およびJST次世代研究者挑戦的研究プログラム「MJSP2108」の支援により実施されました。

用語解説

(注1)出芽酵母
学名Saccharomyces cerevisiae。古くからパンや酒などの製造に利用されてきた、身近な単細胞の真核生物である。細胞の構造や機能がヒトなどと共通する部分が多く、遺伝子操作も容易なため、生命科学の研究でよく用いられるモデル生物のひとつである。

(注2)リボソーム
細胞内でのタンパク質の合成を担う、主要な細胞内小器官である。細胞内に膨大な量存在し、細胞体積の40%程度を占めると試算される。リボソームはタンパク質とrRNAから構成される巨大な複合体であり、大小2つのサブユニットに分かれる。

(注3)RNase T2
 
江上不二夫博士によって麹菌から発見された、日本発のリボヌクレアーゼである。ほぼ全ての生物に存在し、一本鎖RNAを塩基非特異的に分解する活性を持つ。ヒトでは癌抑制因子として同定され、その後、自然免疫機能の制御に関わることが分かった。また、植物では受粉における自家不和合性への関与、ウイルスでは感染した宿主細胞の免疫システムの攻撃、細菌ではバイオフィルム形成制御など、種によって多様かつ重要な役割を果たす。

(注4)オートファジー
 真核生物に保存された、細胞内の構成成分を分解・リサイクルする機構。分解対象の細胞内成分を膜で囲い込み、液胞に輸送して分解する。オートファジーの破綻は、神経変性疾患や癌、加齢に伴う病気など、さまざまな疾患を誘導する。この機構を発見した大隅良典博士(東京科学大学栄誉教授)には、2016年にノーベル生理学・医学賞が授与された。

(注5)液胞
 出芽酵母をはじめとする真菌や植物細胞に存在する大きな細胞内小器官で、動物細胞のリソソームに相当する。水分の貯蔵、老廃物の隔離、消化酵素による細胞内物質の分解などを担う。

(注6)AlphaFold2
 
米国Alphabet社傘下のGoogle DeepMind社が開発した、タンパク質の立体構造を高精度に予測する人工知能モデル。開発者のJohn Jumper博士とDemis Hassabis博士には、2024年にノーベル化学賞が授与された。

問合せ先

(研究内容については発表者にお問合せください)
東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻
助教 小川 哲弘(おがわ てつひろ)
Tel:03-5841-3079 E-mail:atetsu [at] g.ecc.u-tokyo.ac.jp
 [at] は @ に変換してください。

関連教員

葛山 智久
野田 陽一
小川 哲弘

昆明・モントリオール生物多様性枠組モニタリングフレームワークのカバー状況評価とギャップ解消に向けた提言

発表のポイント

  • 国連生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の進捗モニタリング指標について、CBD専門家グループ(AHTEG)が実施したギャップ分析結果を紹介
  • 筆者ら独自に設定した3つの実施シナリオに基づき、GBF目標・ターゲットに対する指標のカバー状況、目標の対応率を分析
  • モニタリング枠組における分野横断的課題を整理し、各国が直面する実施上の制度的・構造的課題を検討
  • 各国が効果的にモニタリングを行うための、短期的および長期的な提言を提示

発表内容

 本論文では、CBD専門家グループ(AHTEG)によるモニタリング枠組のギャップ分析結果をもとに、香坂教授を含む著者らが独自に3つの実施シナリオを設定し、それぞれのシナリオにおいてGBFの目標・ターゲットに対する指標のカバー状況を分析した。
 この3つのシナリオとは、(1) 必須指標(headline/binary)のみを用いる場合、(2) 必須指標に加えて分解項目(disaggregation)も含める場合、(3) さらに任意指標(component/complementary)も含める場合である。分析の結果、最も包括的な(3)のシナリオでも、GBFの目標とターゲットを構成する要素全体のうち12%は指標でカバーされていないことが明らかになった。
 それらの課題と分析を踏まえ、著者らは、各国がより効果的に進捗を把握できるよう、生物多様性モニタリングの改善に向けた実践的な短期・長期の提言を提示した。
 また、著者らは、学術研究者や市民科学者、NGOや先住民及び地域コミュニティ(IPLCs)が連携して各国の取り組みを支援する役割の大きさを強調しており、2026年に予定されている第7回国別報告は、モニタリング体制の実効性とGBFの進捗を初めて測る重要な機会になるとしている。

 本研究成果は、2025年6月に『Nature Ecology & Evolution』誌に掲載された。

第16回生物多様性条約締約国会議(COP16)の様子

コロンビアのカリで開催(2024年10月撮影)

発表者

東京大学大学院農学生命科学研究科 森林風致計画学研究室
香坂玲 教授

発表雑誌

雑誌名
Nature Ecology & Evolution
形式
Analysis
論文タイトル
Assessing coverage of the monitoring framework of the Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework and opportunities to fill gaps
著者
香坂玲(東京大学)含むAffinito, F., Butchart, S.H.M., Nicholson, E. ほか
発表日
2025年6月
論文URL
https://doi.org/10.1038/s41559-025-02718-3

関連リリース

香坂玲教授(森林科学専攻)が生物多様性条約の技術会合専門家に選出(継続)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/news/news_20230517-1.html

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科 森林風致計画学研究室
教授 香坂 玲(こうさか りょう)
Tel:03-5841-5218
E-mail:kohsaka.lab<アット>gmail.com
    kohsaka<アット>hotmail.com <アット>を@に変えてください。

関連教員

香坂 玲

様々なMERS関連コロナウイルスの検出に応用可能なELISA法の開発

発表のポイント

◆MERSコロナウイルスをはじめとする、様々なMERS関連コロナウイルス(注1)を検出できる新しいサンドイッチELISA検査法(注2)を開発
◆複数のコウモリ由来MERS関連コロナウイルスに共通する抗原を高感度で検出可能
◆簡便・迅速・高精度な診断法として、将来的な感染症対策やフィールド調査に応用可能

概要

 本研究では、MERSコロナウイルスを含む様々なMERS関連コロナウイルスを検出できる新たなサンドイッチELISA法診断法を開発しました。コウモリ由来のウイルスのヌクレオカプシド(N)タンパク質を用いて、幅広いMERS関連コロナウイルスに反応するモノクローナル抗体を作製しました。この抗体を組み合わせて高感度かつ特異的な検出系を構築しました。本手法は、機器の制約が少なく、短時間で結果が得られるため、今後の新興感染症の早期発見や野外調査での利用が期待されます。

発表内容

 近年、コウモリを自然宿主とするコロナウイルスの一部がヒトに感染し、新たな感染症として社会に重大な影響を与えています。特にMERS(中東呼吸器症候群)やSARS、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となったウイルスは、いずれもコウモリ起源と考えられており、今後も新たなコウモリ由来コロナウイルスの出現が懸念されています。本研究では、MERS関連コロナウイルスに着目しました。このグループにはMERSコロナウイルスだけでなく、複数のコウモリ由来ウイルスが含まれており、ヒト細胞への感染能を持つことが近年の研究で示され、新たな感染症の病原体となることが危惧されています。MERS関連コロナウイルスは様々なウイルスが含まれるために、特定のウイルスだけを対象にした診断法では、今後出現する未知のウイルスに対応できない可能性があります。そこで私たちは、MERS関連コロナウイルスで豊富に存在し、保存性の高い構造タンパク質であるヌクレオカプシド(N)タンパク質に着目し、このタンパク質を認識するマウスモノクローナル抗体(注3)を作製しました。作製したモノクローナル抗体のうち、3種類の抗体が幅広いMERS関連コロナウイルスに強く反応する一方で、SARS-CoV-2など他のコロナウイルスには反応しませんでした。これらのうちから2つの抗体を組み合わせることで、Nタンパク質を捕捉可能なサンドイッチELISA法を確立しました。
 このサンドイッチELISA法は、6種のMERS関連コロナウイルス(VsCoV-1、EjCoV-3、NeoCoV、MERS-CoV、HKU4、HKU5)に対して、1.25~7.81 ng/mLという低濃度での検出が可能であり(図1)、感染性ウイルス(EjCoV-3)でも1.3 × 10³ PFU/mLのウイルスを検出しました(図2)。また、他のコロナウイルスには交差反応せず、高い特異性も示しました(図3)。

図1 サンドイッチELISAによる様々なMERS関連コロナウイルスのNタンパク質の検出

6種のMERS関連コロナウイルス(VsCoV-1、EjCoV-3、NeoCoV、MERS-CoV、HKU4、HKU5)のNタンパク質に対して7.8 ng/mL以下という低濃度での検出が可能でした。
一方、新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2には交差反応せず、新型コロナウイルスと区別できることがわかりました。

 

図2 サンドイッチELISAによる感染性MERS関連コロナウイルスの検出

感染性ウイルス(EjCoV-3)では1.3 × 10³ PFU/mLのウイルスを検出しました。

 

図3 サンドイッチELISAの特性解析

6種のMERS関連コロナウイルス(VsCoV-1、EjCoV-3、NeoCoV、MERS-CoV、HKU4、HKU5)およびその他のヒトに感染するコロナウイルスのNタンパク質を発現する細胞を溶解し用いてサンドイッチELISAを実施したところ、ヒトに感染するコロナウイルス交差反応せず、ヒトコロナウイルスとも区別できることがわかりました。


 将来的には、この抗体ペアを利用した簡易診断キット(イムノクロマト法)への応用も視野に入れており、野外での動物ウイルス監視や、パンデミック対応の一助としての活用が期待されます。

発表者

黎 凱欣(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
片山美沙(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
市川綾乃(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
松郷宙倫(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 助教)
上間亜希子(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 特任助教)
関根 渉(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 助教)
堀本泰介(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授)
村上 晋(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授)

発表雑誌

雑誌名 : Pathogens
論文タイトル : Establishment of a Sandwich ELISA for Detection of Pan-Merbecoviruses
著者 : Kaixin Li, Misa Katayama, Ayano Ichikawa, Hiromichi Matsugo, Akiko Takenaka-Uema,  Wataru Sekine, Taisuke Horimoto, Shin Murakami
DOI番号 : 10.3390/pathogens14060605
論文URL : https://www.mdpi.com/2076-0817/14/6/605

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 獣医微生物学研究室
准教授 村上 晋(むらかみ しん)
Tel: 03-5841-5398
Fax: 03-5841-8184
E-mail: shin-murakami<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp  <アット>を@に変えてください。

教授 堀本 泰介(ほりもと たいすけ)
Tel: 03-5841-5398
Fax: 03-5841-8184
E-mail: taihorimot<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp  <アット>を@に変えてください。

用語解説

注1 MERS関連コロナウイルス(Middle East respiratory syndrome-related coronavirus) 
 2012年にサウジアラビアで初めて報告されたMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)は、重篤な肺炎を引き起こすヒト感染症ウイルスで、ヒトへの感染は主にヒトコブラクダを介して起こるとされる。MERS関連コロナウイルスは、このMERS-CoVと遺伝的に近縁なウイルス群の総称で、自然宿主は主にコウモリと考えられている。

注2 サンドイッチELISA法
 サンドイッチELISA法は、2種類の抗体を使って、対象となるタンパク質をはさむ(=サンドイッチする)ようにとらえ、特定のタンパク質を検出する方法です。色の変化などによって結果を確認します。手軽で高感度なため、医療や食品検査、環境調査など幅広い分野で使われています。

注3 モノクローナル抗体
 同じ抗体を作る1種類の「B細胞」由来のクローン細胞(ハイブリドーマ)から作製されるため、すべての抗体が同一の構造を持つ。そのため、ターゲットとなるタンパク質の同じ部分だけに結合する性質を持つ。

関連教員

松郷 宙倫
関根 渉
堀本 泰介
村上 晋

南の地域のクロサンショウウオほど、卵のうを巡るオス同士の争いが 激しいことで、オスの頭と胴体が長いことを解明

本件のポイント

 クロサンショウウオは、春先に山地の池に集まり、卵のう(図1)を巡ってオス同士で争います。岩手大学大学院連合農学研究科(弘前大学配属)の大学院生の森井椋太さん(現在、東京大学大学院農学生命科学研究科の研究員)は、弘前大学大学院農学生命科学研究科の大学院生の安田晶南さん(現在、東京大学大学院農学生命科学研究科の大学院生)、西野敦雄教授、池田紘士准教授(現在、東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)とともに、温暖な南の地域ほど、卵のうを巡るオス同士の争いが強く、それによりオスの頭胴長(鼻先から総排出口までの長さ; 図2)が長くなる方向に進化したことをクロサンショウウオにおいて、明らかにしました。この研究成果は、日本時間2025年6月20日 に、「Ecological Monographs」誌に掲載されました。

図1:クロサンショウウオの卵のう。

図2:クロサンショウウオにおける頭胴長と全長。

研究の背景

 緯度に伴う環境の違いは、生物の体のサイズなど、さまざまな形態に緯度パターンをもたらすことが知られています。従来は、このような緯度パターンがどのように進化したのかを明らかにするために、オスとメスの両方に変化をもたらす自然選択に着目した研究が多く行われてきました。一方で近年、自然選択だけでなく、片方の性別にのみ変化をもたらす性選択も緯度パターンをもたらす可能性が指摘されていました。例えば性選択は、メスを巡るオス同士の争いなどによって、オスに立派な角のような形質の進化をもたらします。そのため、性選択が緯度パターンをもたらす場合、片方の性別でのみ繁殖に関わる形質に緯度パターンが生まれることが予想されます。また、これまでの先行研究により、オス同士の争いは、繁殖可能な個体数がオスに偏るほど強くなることが示唆されてきました。そのため、繁殖可能なオスとメスの個体数の割合に緯度パターンがあれば、オス同士の争いの強さに緯度パターンが生じ、それによって繁殖に関わる何らかの形質に緯度パターンが生じる可能性があります。しかし、繁殖可能な個体数を野外で調べることは難しく、繁殖に関わる形質に緯度パターンが存在する例もあまり知られていないことから、性選択が実際に緯度パターンをもたらすことを野外で詳細に示した研究はこれまでありませんでした。このような性選択がもたらす緯度パターンを野外の生物で示し、その緯度パターンの進化を示すことができれば、これまで見過ごされてきた動物の多様化要因を明らかにできると考えられます。
 クロサンショウウオは、東北、北関東、北陸、および長野・岐阜に広く分布し、森林などの環境に生息する小型の有尾両生類です。本種は春先に池に集まり、メスは大きな卵のうを産卵し、オスはメスが産む卵のうを巡って争うことが知られています。また、本種のメスは年に1回だけ、1対の卵のうを産卵するため、繁殖したメス個体数の測定が容易で、オスも繁殖期に形態が著しく変化するため(図3)、繁殖可能な期間が推定しやすい利点があります。さらに私たちが行った野外観察により、オスが頭から胴にかけての部位で卵のうを抱えていたため、頭胴長が繁殖成功に影響している可能性を考えました。そこで本研究では、野外調査や飼育実験を行うことで、卵のうを巡るオス同士の争いによって、オスの頭胴長に緯度パターンが進化している可能性を調べました。

図3:クロサンショウウオにおける非繁殖期と繁殖期のオスとメス。 繁殖期のオスは非繁殖期のオスに比べて、頭や胴体の幅が膨らむ。

研究の内容

 最初に、本種を分布域全体にかけて採集し、系統の分布パターンを調べました。その結果、本種は緯度に沿って5つのグループに分かれることが分かりました(図4)。

図4:クロサンショウウオの系統樹。本種は東北、北関東、中部、佐渡、福井の5つのグループに分かれた。

 次に、3日に1回の頻度で定期調査を行い、繁殖可能な個体数を推定しました。その結果、南の地域の方が北の地域よりも繁殖期間が長く、時間当たりでみると繁殖に参加している個体数がオスに偏っていることが分かりました(図6)。その後、野外での行動観察を行い、本種の頭胴長と卵のうの獲得の関係を調べました。その結果、本種の頭胴長が全長に対して相対的に長いオスほど、卵のうを獲得でき、子孫を残す可能性が高いことが分かりました(図5)。

図5:クロサンショウウオにおける卵のうの獲得のイメージ。

 さらに、本種の頭胴長に緯度パターンがみられるのかを明らかにするために、野外で本種のオスとメスを採集して形態を測定し、緯度間で比較しました。その結果、オスでは、南の地域の方が北の地域よりも頭胴長が全長に対して相対的に長いという緯度パターンがみられ、メスでは頭胴長に緯度間で差がみられないことが分かりました。また、実験室の中の同一環境で飼育しても、南の地域の方が北の地域よりも、相対的に長い頭胴長の個体に育ったことから、この緯度パターンは遺伝的に決まっていると考えられました。これらのことから、南の地域では繁殖期間が長いことで、繁殖に参加する個体数がオスに偏るためにオス同士の争いが強く、繁殖に関わる形質である頭胴長が長くなる方向に進化したことが明らかにされました(図6)。

図6:本研究で明らかにされたこと。

本研究の意義と今後の展開

 本研究により、温暖な南の地域ほど、時間当たりでみると繁殖可能な個体数がオスに偏っており、それによって卵のうを巡ったオス同士の争いが強くなり、結果、オスの繁殖に関わる形質として頭胴長が長くなる方向に進化したことで、オスでのみ緯度パターンが形成されたことが明らかにされました。この結果は、性選択が緯度パターンを形成してきたことを示しています。これまで、緯度に伴う繁殖可能な個体数と繁殖に関わる形質の関係性を野外において詳細に調べた研究は行われてきませんでした。本研究は、野外において性選択がもたらす緯度パターンを示し、その形成過程も示すことができたため、性選択が緯度パターンをもたらすことを野外で詳細に示した初めての研究例となりました。

論文に関する情報

論文タイトル:Latitudinal patterns in a reproductive trait driven by sexual selection(性選択がもたらす繁殖形質の緯度パターン)
著者:Ryota Morii, Shona Yasuda, Atsuo S. Nishino, Hiroshi Ikeda(森井椋太,安田晶南, 西野敦雄, 池田紘士)
掲載誌:Ecological Monographs
DOI:10.1002/ecm.70017

取材に関するお問い合わせ先

東京大学 農学部 森林科学専攻 森林動物学研究室
研究員・森井椋太
TEL:0172-39-3590(6月23日から6月27日,弘前大学 西野方)
MAIL:ryoutamorii0515@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

深層学習を用いたマウス「立ち上がり行動」の自動解析技術を開発 —簡便な動画記録のみで昼夜を問わず定量的行動解析が可能に —

発表のポイント

◆深層学習を用いて、マウスの立ち上がり行動を高精度に自動検出する手法を開発
◆通常のビデオカメラとLED/赤外線照明を用いて、専用機器なしに昼夜の解析が可能
◆薬剤(カフェイン)投与や昼夜による行動の違いも定量的に把握できることを実証

概要

 東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループは、マウスの立ち上がり行動(rearing)を自動的に検出・解析するための深層学習モデル(畳み込み再帰型ニューラルネットワーク、CRNN)を開発しました(図)。本手法は、ケージの上部から撮影されたLED照明または赤外線照明下の動画を用いて、高精度なマウスの立ち上がり行動の検出を実現しました。従来のセンサーを用いた解析に代わる、安価で汎用性の高い行動解析技術として注目されます。

発表の内容

 マウスなどの実験動物において、「立ち上がり行動(rearing)」は、不安や好奇心、探索行動などを評価するうえで重要な行動指標です。この行動は後肢で立ち上がり、前肢を地面から離して周囲を観察するもので、特に神経科学や行動薬理学の分野では頻繁に解析対象となっています。しかしながら、このような行動を従来通り目視で記録・解析するには多大な時間と労力が必要であり、長時間の行動観察や多数個体の同時計測には不向きです。さらに、マウスは夜行性動物であるにもかかわらず、夜間の行動観察は照明や装置の制約により十分に行われていないのが実情です。また、既存の自動解析装置の多くは、赤外線センサーや深度カメラといった高価な専用機器を必要とし、導入コストや設備面でのハードルが高いことも課題でした。

研究の成果

 本研究では、通常のビデオカメラでケージの上方から撮影した動画を用いて、畳み込み再帰型ニューラルネットワーク(CRNN)を訓練することで、マウスのrearing行動を昼夜問わず高精度に自動検出できる手法を開発しました。動画は白色LED照明下および赤外線照明下で記録しました。

 開発されたモデルは、学習に使用しなかった動画に対しても感度89.2%、特異度98.1%を達成し、人間の観察者とほとんど同等の精度でrearing行動を判定することができました。また、カフェインを投与したマウスでは、rearing行動の頻度や持続時間が有意に増加することが自動解析によって明瞭に検出され、薬理評価への応用の可能性も確認されました。

 さらに、日中と夜間でrearing行動に明確な差異があることも定量的に把握することができ、行動観察の時間帯選定の重要性も示唆されました。これにより、本手法は、行動学的評価における昼夜変化の把握や、より生理的な行動解析に貢献できると期待されます。

発表者・研究者等情報

坂本 直観(大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程学生)
福田 将大(大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 農学共同研究員)
宮崎 優介(大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 博士課程学生)
大森 啓介(大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 農学共同研究員)
小林 幸司(大学院農学生命科学研究科 特任講師)
村田 幸久(大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授)

論文情報

タイトル:Automated Analysis of Mouse Rearing Using Deep Learning
著者:Naoaki Sakamoto, Masahiro Fukuda, Yusuke Miyazaki, Keisuke Omori, Koji Kobayashi, Takahisa Murata
掲載誌:Journal of Pharmacological Sciences
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jphs.2025.06.002
HP:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1347861325000660

研究助成

本研究は、以下の研究助成を受けて実施されました。
・日本学術振興会 科学研究費助成事業(20H05678, 25H00430, 24KJ0903)
・科学技術振興機構(JST)A-STEP(課題番号:JPMJTR22UF)

用語説明

・Rearing(立ち上がり行動):マウスが後肢で立ち、前肢を地面から離して周囲を探索・観察する行動。動物の不安や探索傾向、環境反応性を測定する重要な行動指標であり、行動薬理学や神経科学で広く用いられている。
・CRNN(畳み込み再帰型ニューラルネットワーク):画像や動画データに含まれる空間的特徴(形・姿勢など)と時間的変化(動作の推移)を同時に扱える深層学習モデル。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を組み合わせて構成され、時系列を伴う行動解析に適している。
・赤外線照明:可視光を含まない赤外線(IR)を使用した照明。動物にとっては視覚刺激とならず、対応するカメラを用いれば、夜間に自然な行動を妨げずに撮影可能。夜行性動物の解析に適している。

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科
獣医薬理学研究室・放射線動物科学研究室
准教授 村田 幸久
Tel: 03-5841-7247 / Fax: 03-5841-8183
E-mail: amurata<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp(<アット>を@に)

関連教員

村田 幸久
小林 幸司

未知受容体を用いて細胞に感染するコウモリ由来新規MERS関連コロナウイルスの性状解析

発表のポイント

◆日本のクビワコウモリ(注1)から検出されたMERS関連コロナウイルス(注2)EjCoV-3を細菌人工染色体(BAC)(注3)を用いたリバースジェネティクス法(注4)により再構築し、培養系の確立に成功しました。
◆EjCoV-3は、新型コロナウイルスの感染受容体であるACE2やMERSコロナウイルスの感染受容体であるDPP4以外の未知受容体を介して感染することがわかりました。
◆EjCoV-3はヒトの呼吸器および腸管由来の細胞で効率的に増殖でき、ハムスターの呼吸器においても増殖できることがわかりました。
◆日本のコウモリがヒトに感染する潜在性をもつコロナウイルスを保有することが明らかになり、今後さらなるコウモリの持つウイルスの調査をするとともに、ヒトに感染しやすいウイルスに変化する可能性について評価する必要があります。

発表概要

 ベータコロナウイルスは過去20年間にSARS、MERS、COVID-19と3度の大流行を引き起こし、特にSARS-CoV-2は深刻なパンデミックとなりました。これら高病原性ウイルスはコウモリ由来と考えられており、コウモリが保有するウイルスの性状解明は、種を超えた感染や今後の流行予測に重要です。 私たちは以前、長野県のクビワコウモリからMERS関連ウイルスEjCoV-3を検出・報告しましたが、その細胞侵入機構やヒト細胞での挙動は不明でした。今回、細菌人工染色体(BAC)を用いたリバースジェネティクスによりEjCoV-3を人工的に作出し、その性状を解析しました。EjCoV-3はACE2やDPP4を欠損した細胞にも侵入可能で、未知の受容体を介した感染が示唆されました。さらに、トリプシンやサーモライシンの添加でヒト呼吸器・腸管由来の細胞で効率よく増殖し、ハムスター鼻腔でも感染が確認されました。この結果は、ACE2やDPP4非依存的に細胞侵入するコウモリ由来MERS関連ウイルスがヒトへの感染性を持つ可能性を示すものであり、新たな感染経路の解明や野生動物ウイルスの継続的調査の必要性を示唆しています。

発表内容

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)などのSARS関連コロナウイルス(サルベコウイルス)と中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)などのMERS関連コロナウイルス(メルベコウイルス)を含むベータコロナウイルスは、過去20年間にSARS、MERS、COVID-19と3回もヒトに致死的な感染症を引き起こしました。特に COVID-19は2019年のパンデミック以来いまだ終息が見通せず、社会的な問題となっています。MERSは2012年の発生から2613人が感染し943人が死亡という高い致死率(36%)を示す感染症です。主な流行地はサウジアラビアなどの中東であり、現在も流行が続いています。
 MERSの原因ウイルスであるMERS-CoVと近縁なウイルスがアフリカや東アジア、欧州のヒナコウモリ科のコウモリから検出されたことから、ヒナコウモリ科のコウモリがメルベコウイルスの自然宿主と考えられます。私たちは以前、長野県のクビワコウモリからメルベコウイルスEjCoV-3の遺伝子を検出し、系統遺伝学的にMERS-CoVと近縁であることを報告しました(https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20220916-1.html)。しかし、EjCoV-3を分離することはできていなかったため、宿主域や組織特異性などのウイルス学的な性状は不明なままでした。そこで、本研究ではリバースジェネティクス法によってEjCoV-3を人工的に作製し、培養細胞および動物の生体における増殖性を解析し、その性状を明らかにすることを目的としました。
 SARS-CoVやMERS-CoVは、そのスパイク(S)タンパク質(注5)が細胞表面の受容体に結合後、プロテアーゼによってSタンパク質が切断されることで活性化し、細胞に感染できるようになります。そこでEjCoV-3においても、細胞侵入にプロテアーゼが必要であるかを水疱性口内炎ウイルスのシュードタイプウイルスシステム(注6)を用いて解析しました(図1)。その結果、EjCoV-3のSタンパク質を持つシュードタイプウイルスは、高濃度のトリプシンやサーモライシン(注7)で処理した場合のみ、細胞に感染でき、このことからEjCoV-3の細胞侵入にはプロテアーゼが必要であることがわかりました。

図1 シュードタイプウイルスを用いたEjCoV-3の感染性

EjCoV-3のSタンパク質を持った水疱性口内炎ウイルスのシュードタイプウイルスを作製し、様々な濃度のトリプシンやサーモライシンで処理した後、細胞に感染させました。トリプシンやサーモライシンで処理しない場合や低濃度のトリプシンやサーモライシンで処理した場合は、ほとんど細胞に感染しませんでしたが、高濃度のトリプシンやサーモライシンで処理した場合には細胞に効率的に感染しました。このことからプロテアーゼによる活性化がEjCoV-3の感染に必要であることがわかりました。


 次にEjCoV-3がSARS-CoV-2の感染受容体であるヒトACE2やMERS-CoVの感染受容体であるヒトDPP4を用いるか調べるために、それぞれの遺伝子をノックアウトした細胞を用いて解析しました。その結果、EjCoV-3のSタンパク質を持つシュードタイプウイルスは、ACE2やDPP4をノックアウトした細胞にも効率的に感染したことから、ACE2やDPP4以外の感染受容体を用いて細胞に侵入することがわかりました。
 これらの知見をもとに、リバースジェネティクス法によるEjCoV-3の作出を試みました。細菌人工染色体(BAC)にEjCoV-3のゲノム全長をクローニングし、このBACを細胞に導入しました。2日後にその上清を回収し、サーモライシンで処理して、細胞に接種し、トリプシンを加えて培養を続けたところ、巨細胞形成を伴う広範囲な細胞変性効果が認められ、EjCoV-3を作出することに成功しました(図2)。作出したEjCoV-3は、プロテアーゼ存在下でヒト呼吸器や腸管由来の細胞で効率的に増殖しました(図3)。さらに、生体における増殖性や病原性を調べるために、マウスやハムスターに接種したところ、マウスでは増えませんでしたが、ハムスターでは鼻甲介において増殖しました。これらの結果から、EjCoV-3はヒトの呼吸器に感染する潜在性を持つことが明らかになり、ACE2・DPP4非依存的に細胞侵入する他のメルベコウイルスにおいても同様の可能性が考えられます。今後はそのような侵入経路の機構の解明やコウモリの保有するコロナウイルスのさらなる調査をする必要があります。

図2 EjCoV-3感染細胞で確認された多核巨細胞

人工的に再構築したEjCoV-3をサーモライシンで処理した後、細胞に接種し、トリプシンを加えて培養をしました。
培養から48時間後には数十個の細胞が融合した巨細胞が認められました。


図3 EjCoV-3の増殖性

EjCoV-3のヒト培養細胞(呼吸器由来のRPMI2650細胞およびヒト消化器由来のCaCo-2やHRT-18G細胞)における増殖性を調べました。
トリプシンやサーモライシンを加えずに培養した場合はほとんど増殖しませんでした。低濃度のトリプシンやサーモライシンを加えた場合、一部の細胞において増殖しましたが、その増殖性は低かったです。高濃度のトリプシンやサーモライシンを加えた場合には、効率的に増殖しました。

発表者

松郷宙倫(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 助教)
北村知也(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生:研究当時)
高橋尚大(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生:研究当時)
チェンバーズジェイムズ(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授)
市川綾乃(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
片山美沙(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
黎 凱欣(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
関根 渉(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 助教)
大平浩輔(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生)
石田大歩(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程院生:研究当時) 
上間亜希子(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 特任助教)
内田和幸(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授)
下島正幸(国立感染症研究所 ウイルス第1部第1室 室長)
堀本泰介(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 教授)
村上 晋(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授)

発表雑誌

雑誌名; Journal of Virology
論文タイトル; In vitro and in vivo characterization of a bat merbecovirus with ACE2- and DPP4-independent cell entry
著者; Hiromichi Matsugo, Tomoya Kitamura, Naohiro Takahashi, James Chambers, Ayano Ichikawa, Misa Katayama, Kaixin Li, Wataru Sekine, Kosuke Ohira, Hiroho Ishida, Akiko Takenaka-Uema, Kazuyuki Uchida, Masayuki Shimojima, Taisuke Horimoto, Shin Murakami
DOI番号; 10.1128/jvi.00727-25
論文URL; https://journals.asm.org/doi/10.1128/jvi.00727-25

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 獣医微生物学研究室准教授
村上 晋(むらかみ しん)
Tel: 03-5841-5398
Fax: 03-5841-8184
E-mail: shin-murakami<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp  <アット>を@に変えてください。

東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 獣医公衆衛生学研究室
助教 松郷 宙倫(まつごう ひろみち)
Tel: 03-5841-3094
Email: amatsugo<アット>g.ecc.u-tokyo.ac.jp  <アット>を@に変えてください。

用語解説

注1 クビワコウモリ
 東北地方南部、関東地方北部、中部地方に分布する食虫性コウモリ。ヒナコウモリ科クビワコウモリ属に属する。
注2 MERS関連コロナウイルス(Middle East respiratory syndrome-related coronavirus)
 2012年にサウジアラビアで初めて報告されたMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)は、重篤な肺炎を引き起こすヒト感染症ウイルスで、ヒトへの感染は主にヒトコブラクダを介して起こるとされる。MERS関連コロナウイルスは、このMERS-CoVと遺伝的に近縁なウイルス群の総称で、自然宿主は主にコウモリと考えられている。
注3 細菌人工染色体
 BAC(bacterial artificial chromosome)と略す。大腸菌の接合性に関与するFプラスミドの複製に必要な因子をもつベクターで、細菌中にサイズの大きなインサートを低コピーで安定に維持できる。
注4 リバースジェネティクス法
 ウイルスの全長ゲノムをクローニングしたプラスミドやBACを細胞に導入し、細胞内で転写されることでウイルスゲノムRNAが合成され、感染性ウイルスが人工的に作製される手法。プラスミドやBACに変異を導入することで、変異ウイルスを作出できる。
注5 スパイク(S)タンパク質
 コロナウイルスの粒子表面にあるとげ状のタンパク質。ウイルスが細胞に吸着し、侵入する際に使用する。
注6 シュードタイプウイルス
 他のウイルス由来のタンパク質を表面にもつウイルスのこと。“シュード”は“偽の”という意味である。今回は牛や豚に感染する水疱性口内炎ウイルス(VSV: vesicular stomatitis virus)の表面のタンパク質をコロナウイルスのスパイクタンパク質に置き換えたウイルスを使用した。今回用いたシュードタイプウイルスは細胞に感染しても、感染性のあるウイルス粒子を産生しないように改変している。したがって、このシステムを用いることで、病原性の高いウイルスの表面タンパク質を安全に解析できる。
注7 サーモライシン
 Bacillus thermoproteolyticus由来の金属プロテアーゼ。主に疎水性アミノ酸残基のN末端側のペプチド結合を加水分解する。

関連教員

松郷 宙倫
チェンバーズ ジェイムズ
関根 渉
堀本 泰介
村上 晋

未来を読む育種で、2つの薬効を同時改良:アカジソで示した新戦略

発表のポイント

◆従来のゲノミック選抜は「現在の個体」の能力に基づいて選抜を行ってきましたが、本研究では、将来世代のゲノム変化を確率的に予測し、「未来に優れた個体」を選抜するという新しいアプローチに着目しました。
◆薬用植物アカジソを対象に、異なる2つの薬効成分に特化した2集団を理論的に組み合わせ、両成分が高い個体を効率よく選抜する手法を確立しました。
◆専門家の少ない薬用植物や未利用作物でも育種を効率的に進められるようになるという意義が大きく、農業や医薬分野における新たな育種基盤の構築につながることが期待されます。

未来を予測する育種の新戦略

 

概要

 東京大学の岩田教授、株式会社ツムラの津坂研究員とかずさDNA研究所の白澤室長らとの共同研究チームは、将来世代の遺伝的変化を予測し、異なる薬効成分に特化した植物集団を組み合わせることで、両方の薬効を併せ持つ優良個体を理論的に設計する新たな育種手法を開発しました。対象としたのは、育種がほとんど進んでいない薬用植物アカジソで、測定に手間のかかるペリルアルデヒドとロスマリン酸の2成分を効率的に改良することを目指しました。ゲノム情報から将来世代の形質を確率的に予測し、高性能な個体が出現する可能性の高い交配組合せを選ぶことで、従来法と比べて遺伝的な改良程度が最大18%向上しました。このアプローチは、アカジソに限らず、育種の進んでいない多様な有用植物への応用が期待され、データ駆動型育種の新たな展開を示しています。

発表内容

 私たちの食生活を支える多くの作物は、人間にとって有用な特性をもつように、野生種から長年かけて遺伝的に改良(=育種)されてきました。主要な作物であるイネやダイズの育種では、「育種家」と呼ばれる専門家が、豊富な経験や直感に基づいて、どの個体を交配し、どれを次世代に残すかを判断してきました。しかし、育種家がほとんどいない植物や、育種の進んでいない植物種も数多く存在します。こうした植物に対しては、従来のような経験に依存する方法では十分な改良を進めることができません。
 この課題を解決する手段として注目されているのが「ゲノミック選抜(GS)」です。これは、植物のゲノム情報から目的とする形質に対する遺伝的な能力を予測し、その予測値に基づいて個体を選抜する手法です。すでにいくつかの作物で実用化が始まっていますが、多くの方法は「現在の世代の能力」に基づいて選抜を行うものでした。本研究グループは、ゲノムデータの強みをより活かすため、将来世代のゲノムの変化を確率的に予測することで、「未来に高い性能を発揮する個体」を選ぶという新たな視点に着目しました。

 今回の研究では、漢方薬の原料となる薬用植物「アカジソ」を対象に、2つの薬効成分(ペリルアルデヒドとロスマリン酸)の改良を目指しました。アカジソには専門の育種家が存在せず、薬効成分の測定には多くの時間とコストがかかるうえ、薬効成分が高い個体を単純に選んでも、それが後代に安定して伝わるとは限りません。
 本研究の特徴は、異なる薬効成分に特化した複数の育種集団を混合し、それらを理論的に最適な形で組み合わせることで、将来世代において両方の成分が高い個体を得る戦略を提案したことです。薬効成分に関連する遺伝子の位置や効果を推定した予測モデルを用い、将来世代のゲノム構成と表現型を確率的にシミュレーションすることで、両成分を兼ね備えた個体が生じる可能性の高い交配組合せを見つけ出しました。この手法を用いた結果、現世代の能力に基づいて選抜した場合と比べて、最終世代での改良の程度(遺伝的獲得量(注1))が8〜18%向上することが示されました。また、遺伝的背景が異なる集団同士の交配においても、本手法が有効に機能することが確認されました。現在、本研究で得られた知見をもとに、実際のアカジソ育種への応用が進められており、改良成果の取りまとめが行われています。

 この手法は、育種が十分に進んでいない植物種に広く応用可能です。植物は食用だけでなく、医薬品、エネルギー、衣料、観賞など多様な用途での活用が期待されています。その可能性を引き出すには、経験に依存しない、データ駆動型の効率的な育種が今後ますます重要となるでしょう。

図1. 現在優秀な個体を選ぶ従来の方法 (上) と、
将来の性能を予測して選抜する本研究の方法 (下)の概念図

 

図2. 従来の選抜方法 (緑破線) と本研究の提案手法 (紫実線) による
遺伝的獲得量の変化の比較(シミュレーション結果)

発表者・研究者等情報

東京大学 大学院農学生命科学研究科
木下 青 研究当時:修士課程
 現:博士課程
櫻井 建吾 研究当時:博士課程
 現:助教 
岩田 洋佳 教授

理化学研究所 革新知能統合研究センター
濱崎  甲資 基礎科学特別研究員

株式会社ツムラ
津坂 宜宏 研究員
櫻井 美希 研究当時:課長
 現: LAO TSUMURA CO.,LTD. 生産二部長

かずさDNA研究所
白澤 健太 室長
磯部 祥子 研究当時:主席研究員
 現:東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授

論文情報

雑誌名:Theoretical and Applied Genetics
題 名:Optimization of crossing strategy based on the usefulness criterion in inter-population crosses considering different marker effects among populations
著者名:Sei Kinoshita, Kengo Sakurai, Kosuke Hamazaki, Takahiro Tsusaka, Miki Sakurai, Kenta Shirasawa, Sachiko Isobe, Hiroyoshi Iwata*
DOI: 10.1007/s00122-025-04935-7
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00122-025-04935-7

研究助成

 本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム JST OPERA「薬用植物のゲノム育種の基盤構築(課題番号:JPMJOP1851))」、公益財団法人かずさDNA研究所の支援を受けて行われました。

用語解説

(注1)遺伝的獲得量:
遺伝的に改良した程度。本研究では、初期集団(第0世代)と相対的に比較を行った場合の遺伝的な能力の差を表す。

問合せ先

(研究内容については発表者にお問合せください)
東京大学 大学院農学生命科学研究科 生産・環境生物学専攻
教授 岩田 洋佳(いわた ひろよし)
Tel:03-5841-5069 E-mail:hiroiwata@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

関連教員

岩田 洋佳
櫻井 建吾

カイコのオス化複合体の発見

発表のポイント

◆カイコにおいてオス化を誘導するオス化複合体を発見しました。
◆カイコの性決定カスケードにおいて、ミッシングピースであったオス化の最終ステップを明らかにしました。
◆カイコをはじめとするチョウ目昆虫の性決定機構の全貌解明に貢献する成果です。

カイコのオス化複合体によるオス化プロセス

概要

 東京大学大学院農学生命科学研究科の勝間進教授らの研究グループは、カイコの性決定カスケードにおいて、ミッシングピースであったオス化の最終ステップを明らかにしました。これまでに明らかにしていたオス化因子Mascに結合する因子として、RNA結合タンパク質であるPSIを同定しました。MascとPSIは複合体を形成し、性決定最下流のdsxのスプライシングを直接制御することで、カイコのオス化を誘導することを発見しました。カイコをはじめとするチョウ目昆虫の性決定カスケードにおいて、オス化複合体が重要な役割を果たすことを示す研究成果です。

発表内容

 東京大学大学院農学生命科学研究科の勝間進教授のグループでは長年にわたり、カイコの性決定遺伝子の同定を目指してきました。2014年にW染色体上のpiRNA(Fem piRNAと命名)がメス決定因子であることを明らかにすることができました(Kiuchi et al., Nature, 2014)(農学部プレスリリース参照:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2014/20140515-1.html)。一方、Fem piRNAのターゲットとなっている遺伝子Masculinizer(Masc)も同定し、その遺伝子産物がチョウ目昆虫においてオス化と遺伝子量補償(注1)を担うことも発見しました。しかし、その後、約10年間、Mascがいかにして性決定の最下流因子であるdoublesex (dsx)(注2)のスプライシングをオス型に規定するのか、そのメカニズムは未解明でした。今回、Mascを含むオス化複合体を同定し、それが直接オス化を誘導することを発見しました。
 カイコ培養細胞であるBmN-4は卵巣由来であり、dsxはメス型を示します。しかし、Mascを過剰発現させるとオス型dsxが発現するようになります。そこで、Mascがこの細胞内で結合するタンパク質がオス化に必要であるという仮説をたて、免疫沈降と質量分析でMasc結合タンパク質を同定しました。その中には多くのスプライシング関連因子とともに、dsxのオス型スプライシングに関与することが報告されているP-element somatic inhibitor (PSI)が含まれていました(図1)。次に、このMasc–PSI複合体がdsx pre-mRNAに結合しているのかをRIP-seq、およびRIP-qPCRで解析したところ、メス特異的エキソンであるエキソン3、4近傍に強く結合していることがわかりました(図2)。すなわち、Masc–PSI複合体がメス特異的領域に結合することでエキソンスキッピングが起き、その結果としてオス型dsx が作り出されると考えられました。PSIはオスでもメスでも発現していることから、Mascの有無によるオス化複合体の形成がカイコのオス化に必要であると言えます(図3)。今後、このオス化複合体の全貌解明を進めるとともに、チョウ目昆虫における複合体の多様性と共通性の解明を進めます。

図1:BmPSIはBmMasc結合タンパク質である
免疫沈降と質量分析によるBmMasc結合分子の同定(A)と免疫沈降-ウエスタンブロッティングによるMascとPSIの結合確認(B)

図2:BmMasc複合体はBmdsxのメス特異的領域に結合する
RIP-qPCR法の概略説明(A)とBmMasc複合体のdsxのエキソン3、4への特異的結合(B)


図3:カイコの性決定カスケード
BmMasc–BmPSI複合体は直接dsx pre-mRNAのメス特異的領域に結合し、エキソンスキッピングを誘導する。その結果、オス型dsxの発現が起きる。BmPSIはメスにも存在するが、BmMascはFem piRNAにより抑制されているためオス化複合体は形成されず、dsxのスプライシングはメス型となる。

〇関連情報:
「カイコの性はたった一つの小さなRNAが決定する-80年来の謎をついに解明!カイコの性決定メカニズム-」(2014/5/15)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2014/20140515-1.html

「メスだけが生き残る仕組み-オスを狙って殺す共生細菌ボルバキアタンパク質Oscar(オス狩る)の発見-」(2022/11/15)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20221115-1.html

発表者・研究者等情報

東京大学
大学院農学生命科学研究科
 兼田 竜昇 研究当時:修士課程
 松田(今井) 典子 特任研究員
 木内 隆史 准教授
 勝間 進 教授

大学院新領域創成科学研究科
 鈴木 穣 教授
 鈴木 雅京 准教授

徳島大学
先端酵素学研究所
 小迫 英尊 教授

東京農工大学
大学院生物システム応用科学府
 庄司 佳祐 准教授

論文情報

雑誌名:Communications Biology
題 名:The Masc-PSI complex directly induces male-type doublesex splicing in silkworms
    (Masc-PSI複合体はカイコにおけるdoublesexのオス型スプライシングを直接誘導する)
著者名: Tatsunori Kaneda, Noriko Matsuda-Imai, Hidetaka Kosako, Keisuke Shoji, Masataka G. Suzuki, Yutaka Suzuki, Takashi Kiuchi, Susumu Katsuma*
*,責任著者
DOI: https://doi.org/10.1038/s42003-025-08350-y
URL: https://www.nature.com/articles/s42003-025-08350-y

研究助成

 本研究は、新学術領域計画研究(17H06431,16H06279)、基盤研究(A)(22H00366)、およびG-7奨学財団助成の支援により実施されました。

用語解説

(注1)遺伝子量補償
 雌雄における性染色体数の不均等から生じる遺伝子の発現量の差を、雌雄で等しくなるように調節する機構を遺伝子量補償といいます。例えば、オスXY/メスXXの性染色体構成を持つキイロショウジョウバエでは、オスのX染色体の遺伝子の発現を上昇させるシステムを使用しています。一方、チョウ目昆虫の場合、オスにおけるZ染色体の遺伝子発現を抑制することで遺伝子量補償が行われますが、そのシステムの中心にMascが存在していることがわかっています。

(注2)doublesex(dsx)遺伝子
 昆虫が共通して持つ遺伝子で、転写因子をコードしています。雌雄で異なるスプライシングを行うことで、雌雄で異なる配列と機能を持つタンパク質を作り出します。この転写因子が雌雄で異なる遺伝子を活性化することで、性分化が誘導されます。

問合せ先

(研究内容については発表者にお問合せください)
東京大学大学院農学生命科学研究科
教授 勝間 進(かつま すすむ)
Tel:03-5841-8994 E-mail:skatsuma@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

関連教員

勝間 進
木内 隆史

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